写真クリックで表示が大きくなります
電磁波過敏症の救世主になれるか?フェライト商品
TDKより
http://www.tdk.co.jp/techmag/earth/200907/index.htm
■ コンパクトに運搬できる折り畳み式電波吸収体
無響室(Anechoic Chamber)は反響(エコー=echo)のない部屋という意味だ。電子機器のノイズ測定や無線機器のアンテナ評価などに利用される電波暗室(Radio Anechoic Chamber)は、直訳すれば電波の無響室ということになる。外部環境から電波を遮断するには、金属シールドした部屋でよい。しかし、金属シールドでは室内の試験機から放射するノイズは室内で反射してしまうため、正確な測定・評価ができない。そこで、壁面と天井の5面(あるいは床面も含めた6面)に電波吸収材を設置した電波暗室が利用されるのだ。
電波吸収材としてはグラファイト(カーボン)のオーム損失を利用したピラミッド形の発泡プラスチックが多く用いられてきた。ピラミッド形にするのは、電波の当たる面積を大きくするとともに、反射波を奥へと誘い込んで熱に変換させて吸収させる目的がある。しかし、このタイプの電波吸収体を利用すると、数10MHzほどの比較的低周波領域では、ピラミッド形の電波吸収体の高さは5mを超えるようになり、電波暗室内の測定空間は極端に狭くなってしまう。
そこでTDKが開発したのはグラファイトとフェライトを組み合わせたユニット型複合電波吸収体だ。低周波領域の電波吸収はフェライトが担い、高周波領域の電波吸収はカーボンが担うことで、電波吸収体の高さを抑え、広い測定空間を確保することが可能になった。とはいえ電波暗室には大量の電波吸収体が使われる。運搬コストの削減を図るため、TDKではきわめてコンパクトに収納・輸送できる折り畳み式の電波吸収体も新開発した。
電波吸収体/電波暗室
グラファイトのオーム損失と、フェライトの磁性体損失を利用したユニット型複合電波吸収体などにより、TDKの電波暗室は、世界最高レベルの測定精度、測定効率、信頼性を達成している。TDKテクニカルセンターでは10m法電波暗室、3m法電波暗室、EMI/EMS対策用簡易暗室などを用いたノイズ対策・イミュニティ測定サービスも提供している。