三年前まで加古川市立中学校に通学していた男性(17)=静岡県伊豆市=が、
自身の「化学物質過敏症」への配慮を求めたのに、
学校側の無理解や周囲のいじめで症状が悪化したとして、
三日までに、同市を相手に治療費や慰謝料など約九千四百万円の損害賠償を求める訴えを
神戸地裁姫路支部に起こした。
訴状によると、男性は化学物質に反応して持病のぜんそくが悪化するといい、
小学校のときは、学校側が香水やたばこに配慮した。
しかし中学では、教員が「神経質になっているのでは」などと理解がなく、
ほかの生徒から机に香水をまくなどのいじめを受けて症状が悪化。
通学できなくなり、現在も中学に在籍したまま転地療養しているという。
化学物質過敏症は、原因など不明な点が多く、国が一般的な「病気」と認めていないため
健康保険が適用されない。
原告側弁護士によると、男性の家族は伊豆市への転地療養費など六百五十万円以上を自己負担。
昨年八月、同市に損害賠償を求め、加古川簡裁に調停を申し立てたが、
不調に終わり提訴したという。
弁護士は「学校側の対応は、過敏症の生徒への配慮を求める文科省通達に違反している。
原告は症状に加えて、学校側の無理解に苦しんでいる」と話す。
これに対し、加古川市教委は
「いじめは加害者を特定できなかったが、クラス全体を指導し再発はなかった。
教科書のインクを避けるため授業のDVDを作って届けるなど、配慮はしており提訴は残念」
としている。
(runより: この話はピコ通信にもあります。)