松田聖子/夏の幻影(シーン)『The 9th Wave』(1985)
尾崎亜美/夏の幻影(シーン)『lapis lazuli』(ラピスラズリ)(1988)
お盆には水母(クラゲ)が出るから泳がない方が良いと教えてくれた、
祖母の言葉が懐かしい。
何度、この遠浅の海に私の気持ちを映しただろう。
勝手に盛り上がっては散って行った、まるで波しぶきのようだった想い。
さすがに、もう顔も出てこない人が増えてきた。(笑)
夏独特の開放的な雰囲気に踊らされて浮き足だったけど、
内気だった頃の私はあまり前に進むことができなかった。
その時のやるせない気持ちが、陽に焼けた砂浜の匂いに残っている。
私の隣でのんびりと眺めているこの人は、何を感じているのだろう。
波を見ているようで、波よりも遠くを見ている眼差しだ。
空を見ているようで、上の空。
私と同じように、残念ではあったけれど、素敵だった思い出に浸っているのだろうか。
海の家の焼きとうもろこしを思い出しているのだろうか。(笑)
それにしても、愛する人と過ごしているのに、
あの切ない日々に帰りたい衝動に駆られてしまうのは、
灼熱のせいだろうか。
時折、頬を伝う乾いた風のせいだろうか。
あの頃と変わらない、波の囁きに呼ばれているのか。
それとも。
かつての夏の幻影(げんえい)は、もう手放すことにする。
次に来る高い波に想いを託す。
どうもありがとう、さようなら。