そう言えばクナッパーツブッシュのブルックナーで一番最初に聴いたのは何だったかな?
何となくそんなことを考えました。私の初めてのブルックナー体験はバーンスタイン/ニューヨーク・フィルの第9番でした。その次に聴いたのがフルトヴェングラーの指揮した第7番、それから朝比奈隆/大阪フィルの色々な演奏が続き…
音楽雑誌などで宇野功芳氏がクナッパーツブッシユのブルックナー演奏を絶賛していたのは知っていましたがレコードのジャケットや広告の写真でクナッパーツブッシユを見るにつけなかなか食指は動かず…(笑)
初めてクナッパーツブッシユのディスクを購入したのはもうCDの時代になってしばらくしてからでした。買ったのは、ウイーン・フィルを指揮した交響曲第3番、でした。それからわりとすぐに第5番や第8番も入手。つまり。最初に買った第3番の演奏がかなり気に入ったのです。と言うか…、たぶん圧倒されたという表現に近かったのかも知れません。これがブルックナーだ。何だか本気でそう思ったのです。(その頃はもうすでに宇野教の信者は卒業していたつもりだったはずなのに、です(笑)) ですから、今でも、「クナの演奏は改訂版を使っていますからお勧めしません。」などとしたり顔で書かれている文章などを読むと思い切り鼻白んだ気分になります。偉そうに。この人本当にブルックナーが分かっているのか、なんて。(と思う私自身が一番「偉そうに」、ですが(笑))
今日は、久し振りにそのウイーン・フィルとのブルックナー交響曲第3番を聴きました。1954年4月にセッション録音された音源です。
久し振りに聴くこの演奏、思ったより流れが良く本当に自然にブルックナーの世界に入っていけます。(記憶していたイメージではもっとゴツゴツとした無骨な演奏だったと思っていたのですが。)自然で気持ちよく音が心を揺さぶります。
綺麗に聴かせてやろう、とか上手く聴かせよう、などという気は全くなく、しかしマエストロは実に気分良く音の固まりを繋いでいくようです。そしてそれはそのままブルックナーの音楽そのもの、なのでした。
やはり音楽は理屈じゃないよね。
聴いている間に、この演奏を聴いて良かったな、って気分になれりゃ、他に何も言う事はありません。
今日は、これ聴いて良かった、と本気で思ったのでした。
モノラル時代に収録されたクナッパーツブッシュとウィーン・フィルによるブルックナーの交響曲第3番は、メジャーレーベル (デッカ) と一流の団体 (ウィーン・フィル) が顔を揃えた最初のLPでした。1950年代、ブルックナーは未知、不人気の作曲家でしたが、デッカの先見の明のおかげで、この第3番は今や “不滅の名盤" として定着しています。復刻に使用したのは2トラック、38センチのオープンリール・テープで、〈何も足さない、何も引かない〉的にマスタリングを施し、瑞々しく艶やかで、響きの豊かな音質を得ることが出来ました。また、言うまでもありませんが、この第3番で使用されている「改訂版」は「原典版」 (ノヴァーク第3版) とほとんど変わりがなく、改訂版使用による違和感はほとんどありません。
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