J.S.バッハ 偽作「聖ルカ受難曲」 メンデルスゾーンやブラームスはすぐ偽作と言い切りました | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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ヴォルフガング・ヘルビッヒ指揮
アルスフェルト声楽アンサンブル
ブレーメン・バロックオーケストラ

 

 

以前、バッハの「マルコ受難曲」についての記事を書いた時、BWV 246と言う作品番号が与えられた「ルカ受難曲」と言う曲もあるけれど偽作とされている、と記載しました。

 

 

今日、例によって(笑)YouTubeをあれこれと見ているうちにそのルカ受難曲の音源が眼に入りました。

偽作、と分かった上でちょっと面白そうだな、と好奇心が沸いてしまい聴き始めたわけです(笑)

 

この作品、19世紀にはバッハの真作と思われていたようなのですが・・・

 

「聖ルカ受難曲(ドイツ語:Lukas-Passion)BWV246は、かつてヨハン・セバスチャン・バッハの作品とされた受難曲である。BWVのカタログには246という番号で掲載されている。現在では、アポクリファルまたは匿名という見出しでカタログに掲載されている。
歴史
現存する1730年頃の聖ルカ受難曲の写本は、一部がバッハの手によるものであるが、その音楽はバッハ自身のものではないことは確かであると学者たちは考えている。この曲は後にヨハン・メルキオール・モルターが作曲したとされたが、モルターが作曲したのであれば、この写本は1730年より後のものであることが証明された. おそらく、バッハはこれをライプツィヒで演奏したか、演奏しようとしたものと思われる。C.P.E.バッハとアグリコラは、この曲をバッハの作品と勘違いして、作品目録に入れたのかもしれない。もちろん、徹底的な循環を好むバッハとしては、「聖ルカ受難曲」を作曲しておくべきだったのだが。J.S.バッハは、1730年の聖金曜日の急な締め切りに間に合わせるため、無名の「聖ルカ受難曲」を4声、合唱、オーケストラ、通奏低音のために編曲したようだ。
真偽のほどは不明
この情熱曲の作者について、フェリックス・メンデルスゾーンは、ルカ・パッションを購入するために大金を支払ったばかりのフランツ・ハウザーに宛てた手紙の中でこうコメントしています: "あなたが聖ルカ受難曲のために大金を出したと聞いて残念です"。メンデルスゾーンは、たった一つのコラール「Weide mich und mach' mich satt」(第9番)を根拠に、バッハがこの作品の作者であることを否定した。彼は続けた:

「間違いなく、本物の自筆譜として、この作品は値段に見合うものだろう。しかし、これはバッハの作品ではない。あなたは、『どのような根拠でその意見を維持しているのか』と尋ねている。あなたの財産ですから、そう言うのは気が引けますが、私は内在的な証拠に基づくと答えます。しかし、『Weide mich und mach' mich satt』というコラールを見てください!もしこれがセバスチャンの作なら、私は絞首刑に処されるかもしれない!確かに彼の筆跡だが、あまりにもきれいだ。明らかに彼がコピーしたものだ。テレマンか、M.バッハか、それともアルトニコルか」あなたはそう聞く。ユング・ニコルか、素朴なニコルか、どうしてわかるんだ。バッハのものではありません。おそらく北ドイツ起源だろう。" 」(Wikipedia(英語版) St Luke Passion, BWV 246 より(DeepL翻訳ツールによる翻訳))

 

Wikipedia(英語版)の翻訳ツールによる翻訳ですので、どうも意味の取りづらいところもあったりするのですが、どうやらメンデルスゾーンの存命中に彼の知り合いがこの曲の楽譜をかなりの高額で買い求めたようです。それに対しメンデルスゾーンはこれは明らかにバッハの真作では無いと言い切っています。また、それより少し後年になると思いますがブラームスもまたこれは偽作だと明言しているようです。

 

 

メンデルスゾーンやブラームスが自信を持って言い切れた根拠が何かは分かりませんが、さらっと聴いた印象でも少なくともヨハネやマタイを書いた後のバッハの作品とは思えないような気はします。音楽的な深み、等と偉そうなことが言えるほどの見識があるわけではありませんが、音楽の緊張感に差があるような気がするのは先入観ばかりではないでしょう。

 

しかし、聴く価値が無いと言いきるほど変な曲でもありません。と言うより充分に音楽的な完成度は保っている曲だと思いますし、とても美しい響きを聞かせてくれるところもたくさんあります。偽作、とは言え、バッハによって実際に演奏された曲だろうと思われますから当時教会では何の違和感も無く受け入れられた音楽だったのでしょう。

 

ヴォルフガング・ヘルビッヒ指揮ブレーメン・バロックオーケストラ他の演奏者はとても好感のもてる演奏。バッハの時代のドイツの空気感、ライプツィヒの教会の情景が浮かんでくるような感じがする音楽でした。

 

 

 

バッハ:ルカ受難曲BWV.246, Anh. 2.30(バッハ 偽作)(2枚組)

モナ・シュペーゲレ(S)
クリスティアーネ・イーフェン(A)
ルフス・ミューラー(T)
ハリー・ファン・ベルヌ(T)
シュテファン・シュレッケンベルガー(B)
マルクス・ザントマン(B)
アルスフェルト声楽アンサンブル
ヴォルフガング・ヘルビッヒ指揮
ブレーメン・バロックオーケストラ