ブルックナー テ・デウム WAB45
ジュディス・ラスキン(ソプラノ)
フローレンス・コプレフ (アルト)
エルンスト・ヘフリガー(テノール)
トーマス・ポール (バス)
クリーヴランド管弦楽団・合唱団
指揮 ジョージ・セル
1968年5月9日 クリーヴランド セヴェランス・ホール
昨日、1枚のCDが届きました。以前ロストロポーヴィチのドヴォルザーク チェロ協奏曲の記事を書いた時、思わずCDを注文していたのですが、完全に忘れていたのです(汗)
この記事のテーマにしたロストロポーヴィチとセル/クリーヴランド管弦楽団によるドヴォルザーク チェロ協奏曲をYouTubeで聴いた時に、この演奏のCDはないのかな、と思いアマゾンを検索してみたのです。そこで見つけたCDはドヴォルザーク チェロ協奏曲の後にブルックナーのテ・デウムが収録されていました。どうやらそれもライヴのようです。セルの指揮したテ・デウム、なんだか意外な感じがしますし、しかもライヴ、となるとこれは聴いてみたい。つい、反射的に購入してしまいました。しかし、後でよく見るとどうやらイギリスから送られてくるらしく・・・、これは時間がかかりそうだな、などと思っている内に注文したことまで忘れてしまっていたのでした(笑)
20日かかって届いたCD。(速かったのか遅かったのか、まあこんなものなのか、私にはよく分かりませんが(笑))
ずいぶんシンプルなデザイン。プラスティックケースにあっさりと写真が印刷された薄っぺらい紙が入っているだけ。曲や演奏のデーターなどもあまり詳しくは記載されていないようです。裏の下の方にMade in Italyと書かれていました。
あまり期待せずに聞き始めたのですが・・・
先に収録されていたドヴォルザーク チェロ協奏曲はもちろん先日YouTubeで聴いた物と同じ演奏で、間違いなく名演と呼んで良いと思います。
そしてその後のブルックナー テ・デウム。
この曲、実は昔はあまり良さが分からず苦手にしていた曲でした。だいたいかなり若い時からブルックナーの交響曲は好き、と言うよりある時期はそればかり聴いていたくらいだったのですがブルックナーの声楽曲は聴くのは苦手でした。数年前、ミサ曲を続けて聴くことがあり急にモテットやその他の宗教曲も含めたブルックナーの合唱曲の良さが分かり始め最近は時折聴いたりするのですが中でもテ・デウム、と言う曲を本当にじっくり聴くようになったのはここ2、3年のことだと思います。良いな、と思ったのはカラヤン指揮、フリッツ・ヴンダーリッヒがソロを務めていた録音。それとヨッフムの録音も悪くはなかった、けど・・・。でもまだ本当のこの曲の良さは分かったなどとは言えない気分でいました。
しかし、このセル/クリーヴランド管弦楽団・合唱団のテ・デウムは最初から最後までまったく圧倒されるような演奏でした。えっ、こんな凄い音楽だった?
ジョージ・セルの指揮は他の曲での解釈と同じように明晰で引き締まり、余計な物はすべてそぎ落としたような厳しい音楽です。しかしここではそれにライヴならではの熱さ、激しさが加わっているようです。そしてここでの主役とも言える合唱がとてもレベルが高いと思います。その上ソリスト達もなかなかの好演。
ブルックナーは未完だった遺作交響曲第9番のフィナーレに代えてこのテ・デウムを演奏して欲しいと言っていたと言います。しかし以前はそれがちょっとピンときませんでした。あの交響曲第9番の第3楽章の後に演奏するような曲にはとても思えなかったのです。しかし、このセルの指揮したテ・デウムなら。これだけのレベルの演奏ができるならもしかするとかなり良い感じになるのかも知れない、などと思ってしまいました。
このCDは大事にしなければ。
本気でそんなことを思ったのでした。
Szell Conducts / Dvorak: Concerto For Cello And Orchestra / Bruckner: Te Deum / Rostropovich
ドヴォルザーク チェロ協奏曲 1969年5月10日 ブルックナー テ・デウム 1968年5月9日 ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団によるライヴ録音盤