マショー ノートルダム・ミサ曲/田園詩『真実の物語』 史上初の通作ミサと不思議な恋愛歌曲 | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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ギョーム・ド・マショーの「ノートルダム・ミサ」を久し振りに聴いています。

 

 

以前の記事でも書きましたが、初期ルネサンスの音楽からも100年ほど前の曲ですから、やはり聞き慣れていないというか逆にとても新鮮な感じがします。作曲された正確な時期はよく分からないようですが、作曲者が1300年前後の生まれですからたぶん日本で言えば室町時代(1338年?~1573年)の初期ぐらいでは無いかと思います。時代を考えると近代の音楽に繋がる物をたくさん持ったこのような音楽が出来上がっていたという点で音楽の面ではヨーロッパは進んでいたのだなと改めて思いました。(けっしてこの時代のヨーロッパの文化が全ての面で進んでいたとは思ってはいませんが、音楽に関してはキリスト教が(布教に利用するために)力を入れた分、「教会音楽」を中心として優れた物になっていたのだと思います。)


「ギヨーム・ド・マショー(Guillaume de Machaut, 1300年頃 - 1377年4月13日)は、14世紀フランスのランス生まれの作曲家、詩人。アルス・ノーヴァを代表する作曲家である。代表作は『ノートルダム・ミサ曲』。」(Wikipedia ギヨーム・ド・マショー より)

「アルス・ノーヴァの代表的作曲家であり、複雑化したリズムの音楽を作った。
マショーは聖職者であったにも関わらず、80年近い生涯に残した音楽作品は典礼のための宗教曲よりも、宮廷風の愛や、世相を歌った世俗曲に比重が占められている。
マショーの最も有名な作品は『ノートルダム・ミサ曲』で、ノートルダムとはフランス語で「我らの貴婦人」つまり聖母マリアを指し、この作品は「聖母マリアのミサ曲」である。6章のミサ通常文が一人の作曲家によって作曲された最初の作品とされる点で歴史的に重要である。(中略)
詩人としては、老マショーを慕って彼の元を訪れた19歳の若い女性、ペロンヌ・ダルマンティエールとのプラトニックな老年の恋を歌った『真実の物語』(Le Voir Dit)が有名である。」(Wikipedia ギヨーム・ド・マショー より)
 

長く続く旋律とハーモニー。石造りの教会の長い残響の中で繰り広げられるミサは格別に神秘的な雰囲気を作りあげていたでしょう。

ミサ曲の後にはマショーの作詩による『真実の物語』(Le Voir Dit)から7曲の歌曲が収められています。これもとても聴き応えが有る音楽です。中世のフランスを旅する気分を味わえそうですね。

 

 

 

 

LA MESSE DE NOSTRE DAME/+

マショーを音楽史の本で名前を知るだけの存在にするにはもったいない。彼の詩と音楽は、現代人にもアピールする詩情に溢れています。「ノートルダム・ミサ」は史上初の通作ミサという音楽史的価値で有名ですが、その古雅ないでたちから浮かび上がる叙情には驚きます。「真実の物語」は、老いた作曲者と若き乙女ペロンヌの文通という不思議な恋愛の記録。「希望のレ」で一人の歌手が20分近く歌い続ける様は圧巻。これらを無伴奏で歌うオックスフォード・カメラータの演奏も見事です。