今日は久し振りにフルトヴェングラーの「ザ・グレート」を聴いています。
私がこの曲を初めて聴いたのはたぶん高校2年くらいの時だったと思います。特に色々な情報を見ることも無く手に取ったレコード。
シューベルト: 交響曲 第9番 ハ長調 D 944「ザ・グレート」
ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1942年12月Live
(いまは9番では無く8番、になっているようですね。8(9)番と言う表記もよく見かけるような気がします。)
購入した時はライヴとは知りませんでしたので、聴き始めた時は音の悪さに驚いたものです。
しかし、凄まじい演奏でした。
50分以上にもなる曲が少しも長く感じること無く、私は身じろぎもできずにに聴いてしまったのです。
荒れ狂ったようなアッチェルランドが繰り返される第1楽章。
深い哀しみを湛えたメロディから始まる第2楽章は途中で音楽が止まるかと思われるようにガクンとテンポが落ちます。
そして・・・
美しく悲しく激しく。
ここでは何かとんでもない世界が描かれているようでした。
あれからもう随分長い時がすぎました。しかし、私にとってこの演奏はやっぱり特別な存在のような気がします。
同じフルトヴェングラーの1951年に録音された格調の高い名演、トスカニーニの演奏。ジョージ・セルの晩年を飾ったディスク。ワルターやベーム、カラヤン・・・、その他も随分たくさん聴きましたが、時々やっぱりあれを聴きたいと思うのは、このフルトヴェングラーの1942年のライヴ。
やはり、凄い演奏です。
フルトヴェングラーとベルリン・フィルによる戦時中のライヴ、ベートーヴェンの「コリオラン」序曲、シューベルトの「ザ・グレート」は2大白熱演奏として、あまりにも有名です。近年ではノイズを可能な限りカットした復刻盤が主流ですが、当シリーズではそのような操作は行っていません。客席のざわめきや演奏ノイズも、すべて音楽のひとつとして捉えています。復刻には2トラック、38センチのオープンリール・テープを使用しました。