ビクトリア「死者のための聖務日課」繊細で清純な音、神秘的な響きに全身が金縛りに遭ったように・・・ | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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タリス・スコラーズの演奏によるビクトリアの Requiem Officium Defunctorumを聴きました。

ビクトリアは好きな作曲家ですが『O Magnum Mysterium』をはじめとしたいくつかのモテットくらいしか聴いていませんでした。ルネサンスの音楽の中では独特の色彩感と神秘的な雰囲気を持った音楽、と言うイメージです。

ビクトリアの作品の中でもRequiem Officium Defunctorum 「死者のための聖務日課」は最大の傑作と呼ばれているようです。いつかは聴かなければと思いつつなかなか手を出しそびれていた、というところでした。

タリス・スコラーズのRequiem Officium DefunctorumのCDは、1987年に録音された物でこの曲の初めての全曲録音として話題になり、その後も名盤として知られた演奏だそうです。

ただなんとなく聴き始めたのですが、最初の音が聞こえてからすぐに後悔しました。

これは、なんとなくいい加減な気分で聴く音楽ではない。

知らないうちに自分の姿勢が変わっているのに気付いたのです。

背筋が伸びる? いや、違う。何だろうこの感覚。この不思議な緊張感。

とても静かで繊細、そして清純な音。

ビクトリア独特の色彩感。

そして、そこに拡がる神秘的な空間。

これはアカペラのコーラスでなければ絶対に作れない響きでしょう。


決して短くないこの音楽が終わる時まで、まるで金縛りにでも遭ったように身じろぎもせずに聴いてしまいました。あっ、もう終わったのか・・・

後にはなんだかしびれたような不思議な疲れと快感が残るばかりでした。




『スペイン・ルネッサンス期の作曲家トマス・ビクトリア最大の傑作「死者のための聖務日課」初の全曲録音として大きな話題を提供した演奏で、ビクトリアのレクィエムが音楽史に残る傑作だということを証明したアルバムでもあります。
 タリス・スコラーズの歌唱はどこまでも端正で美しく、各声部を鮮やかに描き出して、この傑作にふさわしいものとなっています。』(TOWER RECORDS ONLINE 商品の紹介 より)


『トマス・ルイス・デ・ビクトリア(Tomas Luis de Victoria, 1548年 アビラ - 1611年8月27日)は、黄金世紀スペインの生んだルネサンス音楽最大の作曲家の一人。16世紀スペインの作曲家では最も有名であり、多くの人からパレストリーナに次ぐポリフォニックな教会音楽の大家と見なされている。』(Wikipedia トマス・ルイス・デ・ビクトリア より)