オットー・クレンペラー 圧倒的なスケールの音楽 | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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この動画は昨日の記事(エーリヒ・クライバー 美しき青きドナウ  鋭い眼差しがカルロスと・・・ )に載せた写真の右から2人目にいた大巨人(笑)オットー・クレンペラーのドキュメンタリー映像です。

クレンペラーは88年の人生の中で数多くの病気、怪我、事故などに遭い何度も復帰を危ぶまれながら奇跡的な復活を遂げたことでも知られています。脳腫瘍、躁鬱病、ステージから転落して頭部を強打、空港で転んで足と腰骨を複雑骨折、寝たばこによる延焼で全身の大やけど等々。再起不能では無いかとまで言われた状況からその都度復帰を果たし、特にフィルハーモニア管弦楽団とのレコーディングを開始した1960年前後から引退する1972年まで数多くの録音を残しました。その音源は今でも高く評価されています。

動画には指揮している姿もありますが、かなりの年になってからの映像ですし難病の後でもあり椅子に座って指揮する動きはお世辞にもきれいとか明快というような言葉は出てきません。(まあ、若いときから器用だったとは思えませんが、なんて言ったらまずいかな(笑))無骨で大雑把に両手を振り回しているようですが、そこから生まれ出る物は圧倒的なスケールの音楽でした。

指揮者というのは唯一自分で音を出すことのない音楽家です。
と言う事は、声楽家やピアニスト、弦楽奏者などの音楽家と比べると運動能力が音楽表現に影響する割合は低いと思います。例え両手が若い頃ほど自由に動かなくても、表現する意欲がありそれを演奏者に伝えることさえできれば現役を続けられるのです。

クレンペラーは88歳で亡くなる前年に引退しました。

日本で長寿を全うした指揮者と言えば、朝比奈隆さんがいます。
彼の最後の言葉は「引退するには早すぎる」だったそうです。

フェイスブックで小澤征爾さんがまた公演をキャンセルしたことが話題になっていましたが、

私はやはり「引退するには早すぎる」と思います。


本人に表現の意欲があり、

またその指揮で演奏したいという楽団があり、

その演奏を心待ちにしているファンがいるうちは、

何度キャンセルしようと、身体を治し復帰するべきです。


小澤征爾さんはそれくらいのことは許されるだけの功績を今まで積み上げてきたはずだと私は思います。

まだまだ「引退するには早すぎる」

(クレンペラーのことからははずれてしまいましたが、気になったことなのでちょっと一言書いてしまいました。)


私にとってのクレンペラーは中学生の時自分で買った2枚目のレコードの指揮者でした。
曲はベートーヴェンの「田園」

ワルターのように柔らかく優しい音楽ではありませんが、さりげなく過ぎていくとてもすっきりした「田園」で、今も大好きな演奏です。

クレンペラーのベートーヴェンをまとめて聴いてみようかな。

Beethoven: The Orchestral Recording / Symphonies & Overtures
巨匠クレンペラーの没後40年を記念したアニヴァーサリー・エディション!
クレンペラー/ベートーヴェン:交響曲&序曲集(限定盤)