夏日で、汗ばむ一日。
朝、菖蒲湯に入ったのに
午後はすっかり汗をかきました。
ラッキーフードが
ちまき、柏餅ですね。
召しあがった方も多いのでは。
さて、コパクラブ会報誌によると
今日は志の力添えになる一品を
買って、自分へのプレゼントに
しよう
買うのも、使い始めるのも
良い日ですね。
私は両方やりました。
どうせ買うなら吉方位で。
そうでなければ開運日に。
使い始めも開運日に。
これが私の、買い物3原則
同じものを買うにしても、
これで運のつき方が断然違う!
ここからは、チラ見せコーナー。
今日は昨日の続きです。
まとめ読み、立ち読みはこちらで
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窓辺で丸テーブルを囲んだ4人は、ざっくばらんにすぐに打ち解けた。
「誠はね、俺と同じアパートメントなんだ。越してきて3か月じゃあ、まだ友人も少ないだろうと思って、今日は連れてきたんだ。千晶も日本人だと聞いてたし、何かと話が合うんじゃないかと思ってさ」
ジェフが言えば、エスターもいたずらっぽく瞳を輝かせる。
「誠。千晶はね、12の時からニューヨークなのよ。英語でも生活でも、わからないことがあったら、なーんでも訊くといいわ。恋の相談以外はね。この娘、意外とお堅いから」
「あははっ…そうなんだ!ニューヨーク、長いんだね。じゃあ、いろいろ教えていただこうかな。よろしくお願いします、千晶先生」
千晶にむかって誠が深々と頭を下げると、一同は大笑いした。
「でも迷惑でなければ、本当に訊いてもいいかな?たまに本気で困ることがあるんだ」
アイスティーのグラスをテーブルに置いて、誠がまじめな顔つきで千晶に尋ねた。
「あら……たとえばどんな?」
「細かいことはいろいろあるけど、いちばん困ったのが病院へ行った時だよ。こっちへ来てすぐ、慣れない環境で体調を崩してね。ところが頭痛ひとつでも、“どんなふうに痛むか”を医者に説明しないといけないでしょ。熱は測ればわかってもらえるけど、頭痛はズキズキなのか、ガンガン割れそうなのか、なんとなくシクシクなのか、言わないとダメだよね。それくらい調べてから行けと言われそうだけど、体調悪いとそれが億劫で。結局、診察室で自分の頭を指さしながら、そばにあった洗面器をガンガン叩くふりをして伝えたんだ。夏風邪ひとつで、これだけ不自由するのかってね。参ったよ」
ジェスチャーをまじえて苦笑する誠に、千晶はわかる、わかるとうなずいた。英会話はまだ拙いが、彼の軽快で歯切れのよい口調からは、その明るくくったくのない人柄がよく伝わってくる。そして、そんな彼のくったくのなさに引きずられて、男子に対してどうしても構えがちな千晶も、いつのまにか普通におしゃべりするようになっていた。
「私も、こっちへ来たばかりの時は同じ……いいえ。子供だったぶん、もっと表現が乏しくて困ったわ。————じゃあ、はい。これが私の電話番号。夜ならたいていいるわ」
メモを差し出すと、誠も自分の青い手帳を破って、サラサラと番号を書きつけた。
「ありがとう、千晶ちゃん。………これが僕の」
5月の若葉が陽ざしを吸いこんだような、爽やかなきらめきのある笑顔で”千晶ちゃん”と呼ばれて、彼女は一瞬ドキリとした。日本にいた頃は、クラスメートの誰もが彼女を魔女、化け物と呼び、こんなふうに親しげに呼ばれたのは初めてだった。アメリカへ来てからも、いやがらせをする多くが男子生徒だったため、彼女は常に男子を避けて過ごしてきた。考えてみれば同年代の男子と、こんなふうに連絡先を交換するのは初めてだなと、誠の電話番号をバッグにしまいながら千晶は思った。