Ameba、どうやら先月から
挿入不具合が続いているらしい。
早期修正がなされることを祈って
おります。
これも土用の影響なのかなあ?
その土用期間もあと2日。
立夏に何をするか、
きっちり計画しておかないと。
大きな開運日ですからね。
ぜんぜん関係ないんですが、
腱鞘炎が痛くて
箸を持てなくなりました。
最近、家での食事は
もっぱら先割れスプーンが
活躍しております
今日のチラ見せは、
ヒロインを拘束されてしまった
国連側の様子です。
まとめ読みはこちらをどうぞ。
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さて。そのころ国連本部はというと、ローランドが帰国した翌日に、西ドイツ国連大使経由で千晶返還の要求をした。ところが西ドイツ政府から瞬時にそれをはねつけられ、コールがゆでタコのようになって憤慨していた。
「シュテファンめ!何を言っても、そんな娘は知らぬ存ぜぬの一点張りときた!鉄面皮とは、まさにこのことだ!」
禿げた頭のてっぺんまで真っ赤にして、自分のオフィスの中を行ったり来たりする彼に、アーネストもブラウン博士も、そしてローランドも苦笑を余儀なくさせられた。
「まあまあ、コール局長。すこし落ち着かれてはどうですかな。返せと言って素直に返すくらいなら、そもそもこのように強引な真似はいたしますまい」
博士の正論にコールが言葉に窮すると、大きなガラス窓にもたれていたアーネストがぷっと吹き出し、コールは彼をジロリと睨んだ。
「君なら何か名案があるのかね?アーネスト」
自分の髪と同じ、濃茶色のスーツが長身にぴたりとキマって、あいかわらずモデルのようないでたちの彼は、笑いをおさめると博士の方を見た。
「案というわけではありませんが、ひとつ疑問に思うことがあります。博士にお伺いしたいのですが————能力者の中には、思春期にその能力を失う者が少なくないと聞きます。シュテファンともあろう者が、それを知らないはずはない。なのになぜ彼は、思春期まっただ中にある千晶を狙い続けるのでしょうか?仮に彼女がシュテファンに従うようになったとして、そのあと彼女の能力が消失しないという保証はないはずですが」
投げかけられた質問に、ソファーの上でブラウン博士は丸い銀ぶち眼鏡をはずし、それを拭いてから説明を始めた。
「能力者が、思春期にその能力を失いやすい原因として、“自我のめざめ”が言われている。つまり、子供のころには無条件で受け入れていた自身の能力に、ある日疑問を持つようになったり、自分が普通の人間ではないと否定するようになる————いわゆる葛藤ですな。だが、ローランドや千晶のように、能力に関して正しい知識を持つことができれば、その葛藤が遠ざかる。つまり、能力消失の可能性が下がるというわけです。同時に千晶の場合は、体質的なものが多分にあるからでしょう」
博士の説明に、今度はコールが身を乗り出した。
「体質とは?」
「興味深いデータがありましてな。————肉食をしない者は、肉食をする者より特殊能力が開発されやすい、という数字が出ている。だからほれ、古来から巫女やシャーマンは、菜食が多いでしょう。千晶の場合はあくまで偏食なので、卵料理はダメでも、ケーキやアイスクリームなら食べる。修行者ほど厳格でないが、それでも動物性食材の摂取量は、通常と比べ物になりません。偏食は褒められたものではないが、実はそれこそが、彼女のもつ強い能力の秘密と言える」
そこまで話すと、ブラウン博士はコーヒーカップを取りあげた。お茶はもうすっかり冷めていたが、喉の渇きを癒すために彼はそれをふた口ほど飲み、ほかの3人は、博士の言葉の続きを真剣な面持ちで待った。
「皆さん、考えてみてください。世間にも物理的能力をもつ者はいる。スプーン曲げ程度なら適当にこなせる物理能力者が、ちらほらテレビ出演しているでしょう。しかし、能力開発室に所属できるほどの実力者となると、限られる。その能力開発室においてさえ、千晶の才は抜きんでている。それは性格的素直さというものの他に、食生活による彼女の体質が大きく影響しているのです。そして、そういう体質ができあがってしまっているうえに、日ごろからしっかり知識と訓練を積んでいる彼女が、思春期という理由にかぎらず簡単にその能力を失うことは、なかなかに考えにくい。言い替えれば、能力消失の可能性がある他の若い能力者より、千晶の方が間違いないというわけです。そのへんは向こうさんも認識しているはず………だから彼女に執着するのでしょうな」