以下の記述にあてはまる漢方処方製剤として、最も適するものはどれか。(平成30年中国ブロック午後問11)


    体力中等度をめやすとして、幅広く応用できる。気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う不安神経症、神経性胃炎、つわり、咳、しわがれ声、のどのつかえ感に適すとされる。


1 葛根湯
2 半夏厚朴湯
3 五虎湯
4 神秘湯








【解答】
答えは、「2」。

【解説】
    登録販売者試験対策として今年度出題された問題のうち、漢処方製剤(漢方薬)および生薬に関連する問題文やテーマが含まれる問題をピックアップしています。

    こういう問題は、私は得意なのですが皆さんはいかがですか。

    選択肢が4つあげられているので正解の確率は25%ですが、少しでも確率を上げたいところですよね。

    まずは選択肢を絞り込むところから始めます。

    選択肢1の「葛根湯」ではないことは、わかりますよね。しばりを読むとかぜを連想するような表現はほとんど見られませんから。

    選択肢3の「五虎湯」は痰がからむ咳とか気管支炎に良いとされていますが、それを窺わせる表現はないです。

    すると、選べる選択肢は選択肢2の「半夏厚朴湯」か選択肢4の「神秘湯」に絞れます。

    「神秘湯」とは、聞きなれない漢方処方製剤(漢方薬)と思われたかも知れませんが、漢方薬のせき止めの一種と覚えておいてください。名前の由来は「効果が霊験あらたか」だからだそうです。

    問題文のしばりは咳に効かないわけではありませんが、むしろ精神神経症状に重点がおかれています。

    残った「半夏厚朴湯」が答えです。

では、「試験問題の作成に関する手引き」を確認してみます。

【選択肢1】
葛根湯
    体力中等度以上のものの感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛みに適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
    まれに重篤な副作用として肝機能障害、偽アルドステロン症を生じることが知られている。

【選択肢2】
半夏厚朴湯
    体力中等度をめやすとして、幅広く応用できる。気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う不安神経症、神経性胃炎、つわり、咳 、しわがれ声、のどのつかえ感に適すとされる。

【選択肢3・4】
五虎湯、神秘湯
    五虎湯は体力中等度以上で、咳が強くでるものの咳、気管支喘息、気管支炎、小児喘息、感冒、痔の痛みに、神秘湯は体力中等度あるいはそれ以上で、咳、喘鳴、息苦しさがあり、痰が少ないものの小児喘息、気管支喘息、気管支炎に用いられるが、いずれも胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人等には不向きとされる。
    いずれも構成生薬としてマオウを含む。

☆五虎湯および神秘湯にはマオウが含まれることにご注意ください。

    今日の問題の範囲は出題パターンがいくつかあります。

   そのうちの一つにカンゾウやマオウを含む、含まない漢方処方製剤を答えるという問題があります。そのうちの一つをご紹介しておきます。