婦人薬及びその配合成分に関する記述の正誤について、正しい組み合わせを1つ選びなさい。(平成30年度奈良県・問81)


a トウキは、血行を改善し、血色不良や冷えの症状を緩和するほか、強壮、鎮静、鎮痛等の作用を期待して用いられる。

b エチニルエストラジオールは、膣粘膜又は外陰部に適用されるものがあり、適用部位で局所的に薬効を示す。

c 五積散は、女性の月経や更年期障害に伴う諸症状の緩和に用いられる漢方処方製剤であり、構成生薬にマオウを含む。

d 桂枝茯苓丸は、女性の月経や更年期障害に伴う諸症状の緩和に用いられる漢方処方製剤であり、構成生薬にカンゾウを含む。


     a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 正 誤 誤
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 正 正
5 正 誤 誤 正








【解答】
a・・・正
b・・・正
c・・・誤
d・・・誤
以上により、答えは「2」。

【解説】
    登録販売者試験対策として今年度出題された問題のうち、漢処方製剤(漢方薬)および生薬に関連する問題文やテーマが含まれる問題をピックアップしています。

   今回は 婦人薬とその配合成分に関する問題でですが、必ずといっていいほど漢方処方製剤(漢方薬)と生薬の問題文が出題されています。

    本問のような「正誤の正しい組み合わせを答える」問題は、まず「正」あるいは「誤」であると自信をもって判断できる問題文を探すことが常套手段です。

    そのような問題文は、私にとっては問題文a、問題文cおよび問題文dでした。

    まず、問題文aですがこれは「正」しいです。すると、選べる選択肢は選択肢2、選択肢3および選択肢5の3つに絞れました。

   そして問題文cは、最後に「構成生薬にマオウを含む」と書く当たり、一見すると正しい感じがしますが、実は「誤」です。五積散は感冒に対する効能がありまして、これを書いていないので「誤」です。この段階で選択肢3が消えました。

    最後に問題文dですが、「桂枝茯苓丸」は構成生薬にカンゾウを含みませんので「誤」が答えです。

    以上の流れで答えは選択肢2に確定しました。

    問題文bの内容が確実に「正」しいと判断できれば、問題文aおよび問題文bだけで選択肢2を選べましたが、問題文bの正誤の判断は、私には少し自信がありませんでした。

    では、「試験問題の作成に関する手引き」を確認してみましょう。

【問題文a】
   トウキ(セリ科のトウキ又はホッカイトウキの根を、通例、湯通ししたものを基原とする生薬)は、血行を改善し、血色不良や冷えの症状を緩和するほか、強壮、鎮静、鎮痛等の作用を期待して用いられる。

【問題文b】
女性ホルモン成分
    人工的に合成された女性ホルモンの一種であるエチニルエストラジオール、エストラジオールを補充するもので、膣粘膜又は外陰部に適用されるものがある。これらの成分は適用部位から吸収されて循環血液中に移行する。

    妊娠中の女性ホルモン成分の摂取によって胎児の先天性異常の発生が報告されており、妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避ける必要がある。吸収された成分の一部が乳汁中に移行することが考えられ、母乳を与える女性では使用を避けるべきである。

    長期連用により血栓症を生じるおそれがあり、また、乳癌脳卒中などの発生確率が高まる可能性もあるcxxviiため、継続して使用する場合には、医療機関を受診するよう促すべきある。

【問題文c】
五積散(ごしゃくさん)
    体力中等度又はやや虚弱で冷えがあるものの胃腸炎、腰痛、神経痛、関節痛、月経痛、頭痛、更年期障害、感冒に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、不向きとされる。
    構成生薬としてマオウを含む。

【問題文d】
(d) 桂枝茯苓丸
    比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの、月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきびに適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)では不向きとされる。
    まれに重篤な副作用として、肝機能障害を生じることが知られている。