婦人薬として用いられる漢方処方製剤のうち、構成生薬にダイオウを含むため、授乳婦や妊婦又は妊娠していると思われる女性の使用に関して留意する必要があるものを次の1~5から一つ選び、その番号を解答用紙に記入しなさい。(平成30年度大阪府・問44)


1.柴胡桂枝乾姜湯
2.温清飲
3.四物湯
4.加味逍遙散
5.桃核承気湯








【解答】
答えは、「5」。

【解説】
    これは知らなければ、かなり難しいと思います。

    選択肢5の「桃核承気湯」の「承気湯」には必ず「ダイオウ(大黄)」と「ボウショウ(芒硝)」が入っています。このことを知っていれば迷うことなく正解を選べます。

    では、選択肢にあげられた漢方処方製剤について「試験問題の作成に関する手引き」にどのように書かれているか確認しましょう。

【選択肢1】
(f) 柴胡桂枝乾姜湯
    体力中等度以下で、冷え症、貧血気味、神経過敏で、動悸、息切れ、ときにねあせ、頭部の発汗、口の渇きがあるものの更年期障害、血の道症、不眠症、神経症、動悸 、息切れ、かぜの後期の症状、気管支炎に適すとされる。
    まれに重篤な副作用として、間質性肺炎、肝機能障害を生じることが知られている。

【選択肢2】
(b) 温清飲
    体力中等度で皮膚はかさかさして色つやが悪く、のぼせるものの月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症、湿疹・皮膚炎に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では胃部不快感、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
    まれに重篤な副作用として、肝機能障害を生じることが知られている。

【選択肢3】
(g) 四物湯
    体力虛弱で、冷え症で皮膚が乾燥、色つやの悪い体質で胃腸障害のないものの月経不順、月経異常、更年期障害、血の道症、冷え症、しもやけ、しみ、貧血、産後あるいは流産後の疲労回復に適すとされるが、体の虛弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸の弱い人人、下痢しやすい人では、胃部不快感、腹痛、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

【選択肢4】
(c) 加味逍遙散
    体力中等度以下でのぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症、不眠症に適すとされるが、胃腸の弱い人では悪心(吐きけ)、嘔吐、胃部不快感、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
    まれに重篤な副作用として、肝機能障害、腸間膜静脈硬化症を生じることが知られている。

【選択肢5】
(h) 桃核承気湯
    体力中等度以上で、のぼせて便秘しがちなものの月経不順、月経困難症、月経痛、月経時や産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状(頭痛、めまい、肩こり)、痔疾、打撲症に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
    構成生薬としてダイオウを含む。ダイオウを含有する医薬品については、妊婦又は妊娠していると思われる女性、授乳婦における使用に関して留意される必要がある。