【問70】次の記述は、女性の月経や更年期障害に伴う諸症状の緩和に用いられる漢方処方製剤に関するものである。それは、どれか。【A欄】から選べ。
体カ中等度で皮膚はかさかさして色つやが悪く、のぼせるものの月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症、湿疹・皮膚炎に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では胃部不快感、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
【A欄】
温経湯(うんけいとう)、温清飲(うんせいいん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)、五積散(ごさしゃくさん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
1 温経湯
2 温清飲
3 加味逍遥散
4 五積散
5 当帰芍薬散
【解答】
答えは、「2」。
【解説】
はっきり言って、今日の問題はかなりの難問です。そうとはいえ、何とか正解を探さなくてはなりません。注目する部分は、
『体カ中等度で①皮膚はかさかさして色つやが悪く、のぼせるものの月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症、②湿疹・皮膚炎に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では胃部不快感、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。』
の中の下線を引いた部分です。
下線①は「血虚」を示唆しており、下線②は「三焦の実熱」を示唆しています。ということは、「血虚」を治す「補血薬」と「清熱薬」を組み合わせた漢方処方を考えればよいわけで、「温清飲」は実は、「補血薬」の「四物湯」と「清熱薬」の「黄連解毒湯」を合わせた漢方処方製剤で、これが答えです。
★参考のため「黄連解毒湯」と「四物湯」のしばりを載せておきます。
【黄連解毒湯】
体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらして落ち着かない傾向のあるものの鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、二日酔い、血の道症、めまい、動悸、更年期障害、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)では不向きとされる。
まれに重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎、腸間膜静脈硬化症が起こることが知られている。鼻出血、二日酔いに用いられる場合には、漫然と長期の使用は避け、5~6回使用しても症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談するなどの対応が必要である。
【四物湯】
体力虛娶で、冷え症で皮膚が乾燥、色つやの悪い体質で胃腸障害のないものの月経不順、月経異常、更年期障害、血の道症、冷え症、しもやけ、しみ、貧血、産後あるいは流産後の疲労回復に適すとされるが、体の虛弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸の弱い人人、下痢しやすい人では、胃部不快感、腹痛、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。