WWE NXT #437 - New Year's Evil 1/6/2021
 

 

キャリオン・クロス(w/スカーレット)対ダミアン・プリースト
昇格が噂されるプリーストと怪我から帰ってきたクロスとの一戦。打撃も使えるビッグマンであるところを示しつつ、ハイパーアーマー設定のクロスに対して、プリーストがこれでもかと攻め立てる。必殺技のレコニング以外は全て使ったのではないかという程、蹴りも投げも飛び技も大盤振る舞い。クロスの強さを示す一方で、プリーストの最後のアピールタイムとも言えるこの試合で盛大に叩き込んだ形である。静のクロスと動のプリースト。大柄同士の迫力はありながらも、その対比は面白い。最後はクロスが制圧する形のフィニッシュではあるものの、キース対ダイジャコヴィッチに通ずるものがあるぶっ飛び加減が楽しめる一戦となっていて、尚且つこの二人よりもキャラクターも立っている二人なので、メジャーっぽさがより感じられる内容でもある。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

ラスト・ウーマン・スタンディングマッチ
リア・リプリー対ラクエル・ゴンザレス

元親友同士の抗争決着戦。実際に過去にはInstagramでも2ショット写真が上がっていた程の関係性である。噂通りなら昇格が間近に迫っているリアの、ラクエルに対する置き土産と考えれば、特別な試合と位置付けるべきで、ウォーゲームスもそのセットアップの一環だったとも言える。
試合は、大柄同士の豪快な攻防に加えて各種凶器を有効的に活用する形。演劇ベースにしてしまうとこの二人の力量やキャラクターを考えると難しさが出てしまうが、アクションベースは崩さずに、そこに様々な付加要素を足していくので、彼女達の持ち味が最大限伝わる内容となっている。この試合の特に良い点は2つある。まずは移動を上手く使えている点。これはクリエイティブの妙でもあるが、リング→リングサイド→花道→バックステージ→入場口と細かくシーンを変えていくので、粗も隠せて、WWEらしさも生み出せる。ダウンシーンを多く作らずに、パワフルさのみを引き立たせていた構築は見事であった。
もう一つは、凶器やセット使用による豪華さ。各種凶器を有効活用していて、ラクエルが手錠を引きちぎったシーン、リアが、介入したダコタ・カイに反撃しロッカーに閉じ込めたシーン等、キャッチーでエンタメ性に溢れながらも、豪快さにも溢れ、彼女達の持ち味を損なっていないバランス感が見事。クライマックスも椅子や鉄階段をちらつかせながらも、最後はステージ陥没スポットで豪快に幕引き。本当にフェアウェルになるかはまだわからないものの、NXTに、ラクエルに、そして自分へも最高の置き土産となった。ラクエルはもちろん、貢献度の度合いでいえば、リアに関しても現時点でのキャリア・ベストマッチと言えるだろう。文句無しに好勝負。
評価:****1/4

NXT王座戦
フィン・ベイラー(c)対カイル・オライリー

大枠はハードヒッティング+間接技の激しく熱い削り合いなのは変わらず。そこにベイラーが負傷した顎を、逆にベイラーが攻めるというテーマを導入。導入方法がコブラツイストを耐えたオライリー。ロープブレイクの為にロープに噛みついた所に、ベイラーが蹴りを入れて顎を負傷するというもの。序盤も序盤で、別にヒップトスで切り返す事も出来た中で、噛みつきロープブレイクは、正直無理があったものの、ベイラーがそこをすぐさまチンロック→クロスフェイス、抵抗するオライリーを投げで制圧し、間接技で絞ると言う行動を最高の鋭さで行った事により、浮わついた空気感はかき消された。このベイラーのフォローが見事だった。ベイラーが攻め立てるシーンが多かったものの、それはオライリーが間接技で一発逆転を狙える選手だから可能であり、実際に一発逆転狙いの切り返しを執拗に狙っていたので、ベイラー有利の展開もスッと入ってくる。顎を攻めて、オライリーもダメージ表現を頑張った割に、フェイスロック要素の強いグラウンドコブラがフィニッシュだったのは呆気なさがあり、この試合のスタイル上、性急さが強すぎて、少しでも溜めや余韻を大事にしたかったけれども、時間の制約があり、少し難しめなコンセプトという中でも、熱さや鋭さは最大限に残した上で、狙い通りにやり抜いた好勝負であった。
評価:****

全体評価:9