アイスリボン 「RIBBONMANIA2020」 12/31/2020
 

 

FantastICE選手権試合-4コーナープロデュースマッチ
世羅りさ(c)対藤田あかね

ハードコアと評する人もいるが正直デスマッチ。しかしデスマッチの中にもハードコアの魅力も入っているのは否定出来ない。
デスマッチファン的には、4コーナーズ・オブ・ペインといいたくなる形式で、マイクボード、画鋲バット&画鋲付野球のベース、シンダーブロック(コンクリートブロック)そして蛍光灯扇が凶器群。入りはマイクを使って抑え目に始めたが、画鋲バットを使ってからはデスマッチモード。画鋲系凶器なら顔面グリグリ、シンダーブロックならシンプルに叩きつけるとオーソドックスな使い方をする一方で、シンダーブロックを持ってのダイビングクロスボディ等中々ない使い方も同時に行うセンスが見事。2人とも画鋲バットを使った時に、画鋲に触れた後に痛がるシーンを見せた。この一手間が素晴らしく、定番化した画鋲の威力をこの一手間が押し上げた。過激さと共に丁寧さがあるのがこの試合。終盤は地力に勝る世羅が攻勢に出て、藤田は防戦一方だが、マイクボードへの投げ、断崖式の投げ、蛍光灯扇攻撃にシンダーブロックへの投げと必殺級の攻撃をこれでもかと喰らい続けたそのタフさは見事。世羅の容赦ない潰しっぷりも流石だが、それに耐えられる選手が中々いないだけに、彼女の存在がこの試合を素晴らしいものにした。
男子のデスマッチレスラーも参考にすべきデスマッチにおける試合構築、凶器使用の巧みさがあり、男子顔負けにハード。山下りなも入れて3人を海外のデスマッチトーナメントにエントリーさせたい。何なら日本でやっても良いのでは?ラストランの雰囲気もある世羅りさがいる内に派手に打ち上げてほしい。世界に届けたい見事なデスマッチでした。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

ICEx∞選手権試合
鈴季すず(c)対安納サオリ

ロープワークとミラームーブで土台作り。定番のグラウンドの攻防には行かずに、スピーディーに進め、そこから場外でのスープレックスで落とす。安納が鈴季を押す展開が続くかと思いきや、鈴季が安納を焚き付けるシーンが多かったのは予想外。中盤もそつなくこなしていて、転調のきっかけとして張り手合戦を選んだのも、クールな安納のギアを上げさせる意味合いでも明快さがあり良い。そして終盤は、得意技の攻防、関節技での追い込みに丸め込み合戦と満遍なくも、スピードに乗っているので見応えは十分。背伸びしすぎずに1番自分たちが活きる方法を選んでいたのは賢明。キャリアもそこまで離れていない両者なので伸び伸びと自己表現出来ていた。とはいえ安納の方が先輩で、メインイベンターの経験もあるが、その安納に対しても説得力のある試合運びを見せていたのが鈴季の恐ろしさ。フィニッシュ前のその場飛びスパニッシュ・フライ(フラミータのフラムフライと同型)も意表を突いていた。通常形式が良くて、ハードコアも経験を積み、そして飛べるとアメリカでスターになる為のステップを踏んでいるのも個人的にはポイントが高い。超新星鈴季すずの成長曲線をリアルタイムで目の当たりに出来るのは2021年の楽しみの一つである。
好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4