AEW Dynamite #66 - A Celebration Of Mr. Brodie Lee's Life 12/30/2020



 

今大会は元々新年を祝う大会で、ケニー・オメガ対レイ・フェニックスのAEW世界王座戦等がラインナップされていたが、それを1週先送りにして、先日急逝したブロディ・リー(ルーク・ハーパー)ことジョン・フーバーの追悼大会に変更された。
冒頭は、ステージに選手やスタッフも並んでの追悼の10カウントゴング。
そこからモクスリーの追悼メッセージへ。今大会は試合の合間に各選手がブロディとの思い出やメッセージを語る形となっている。
ダーク・オーダーのメンバーの試合には、他のメンバーが毎回ステージに並んで送り出すのも、細かい所ではあるが素晴らしい演出となっていて、ダーク・オーダー以外の選手は、紋章やブロディオマージュのコスチュームも着用と更に特別感がある仕上がりとなっている。

ヤング・バックス(マット&ニック・ジャクソン)&コルト・カバーナ対マット・ハーディ&プライベート・パーティ(アイゼイア・キャシディ&マーク・クエン)
 

両方ベビーフェイスなので、オーソドックスなタッグの展開が続く。バックスにカバーナが続く展開はレア度満点。一夜限りの特別感がある。攻防が途切れ掛かるところも何とかベテランの経験で繋いでいき、そこにPPも華麗な攻撃で食らいつき、最後もバックスとカバ-ナの豪華な連続攻撃でフィニッシュ。一期一会の楽しさがある内容。ブロディ追悼は抜きにして、この試合単体でのテーマこそないものの、特別なものにするという気迫が感じられ、それが乗り移った内容。中々良い試合。
評価:***1/2

ダーク・オーダー(イービル・ウノ&ステュ・グレイソン)&ランス・アーチャー(w/ジェイク・ロバーツ)対エディ・キングストン、ザ・ブッチャー&ザ・ブレイド(w/バニー)
 

続いては今大会の裏メインと言っても良いダーク・オーダーの中でもブロディとの付き合いも長い元SSBの2人とブロディの古巣であるChikaraラストマッチも戦ったキングストン等Chikara勢の登場。そこにブロディのインディ&WWE期の風貌に扮したアーチャーが登場すれば、キングストンも短いけれども感動的なメッセージで返す。この時点で最高なのだが、試合もブロディオマージュ全開。存在自体がオマージュのアーチャーだけでなく、試合開始早々のウノによるビッグブートにステュのトラック・ストップ(ブロディの必殺技である旋回式サイドスラム)とてんこ盛り。キングストン軍がヒールワークで逆転するも、アーチャーの援護を受けたウノ&ステュもギアを全開にしてラストスパート。ベビー時の時を思わせる躍動感はやはり最高で、これぞSSBという活躍を見せてくれたのは嬉しい限り。ヒールでも良い選手には変わりはないが、ベビーフェイスの時の爆発力は格別。敗れたものの、キングストン軍も黒子に徹して仕事を果たせば、最後はジェイク・ロバーツによるショートレンジ・クローズラインのおまけ付き。最高の勧善懲悪劇。中々良い試合。
評価:***1/2

“ハングマン”アダム・ペイジ&ダーク・オーダー(アレックス・レイノルズ&ジョン・シルバー)対ジ・インナー・サークル(オルティズ、サンタナ&MJF)(w/ウォードロウ)
 

CHIKARAからの長きにわたる友人であるレフェリー、プライス・レムスバークを筆頭とした感動のメッセージで涙腺ボロボロになった後は、ブロディコスチュームで登場のシルバーを要するビーバー・ボーイズ&ペイジが登場。ペイジ以外はもはやBeyond Wrestlingかというようなカードだが、MJF率いるインナー・サークルが的確に支配。リングサイドで見守るブロディの息子に悪態をつくMJFは流石の一言。ここでこれをしても許されるのが彼という存在。実力者揃いのインナー・サークルに苦戦を強いられる混成軍だが、ペイジのサポートを受け反撃。これまでの試合と似た様な展開だが、この試合は更に超えてくる。介入したウォードロウに対し、その助太刀に現れたのは、WWEで唯一無二の相棒として共にブロディと活躍したエリック・ローワン(現エリック・レッドベアード)!!ウォードロウを排除すると、リングサイドではブロディの息子のマスクを剥ぎ悪態をつくMJFに対し、持っていた竹刀で一撃!そして総仕上げはシルバーによる天に行ったリーダー、ブロディの力を借りた必殺ディスカス・ラリアット!サプライズに次ぐサプライズ。理屈は不要。今大会のハイライトともいえる名シーン連発のこれぞ最高のトリビュートマッチ。前の試合を超えてくるとは思わなかった。中々良い試合。
評価:***1/2

試合後のローワンによるメッセージボードの演出も、そこから盟友キングストンのメッセージに移る流れも見事

 

メインを終えて、団体の副社長としてコーディがブロディの妻アマンダさんと息子の「-1」(The Negative One/ブロディがThe Exalted Oneと名乗っていたことに対してのオマージュ)ことブロディ・リーJr.を迎える。オーナー・トニー・カーンが初代TNT王座のベルトをブロディJr.に贈呈し、WWE時代やインディ時代を含むブロディの人生を振り返るビデオで幕引き。年の瀬にプロレス史に残る最高の追悼大会を見せてくれたAEWには感謝いっぱい。この大会こそフルで見てほしい。お世辞抜きにして、涙無しでは見る事はできない感動的な大会となっています。必見。

全体評価:9+