新日本プロレス WORLD TAG LEAGUE 2020 & BEST OF THE SUPER Jr.27 日本武道館大会 12/11/2020
BEST OF THE SUPER Jr. 27優勝決定戦
エル・デスペラード対高橋ヒロム

仁義なきライバル対決は遂に大舞台へ。華麗な名勝負で名を刻むのではなく、唯一無二のライバル対決として名を刻む事を選んだこの試合。

デスペラードがラフやヒールプレイを活用しつつ脚攻めを展開。この試合の半分位を占める割合で行い、そして必殺のヌメロ・ドスへ結びつける形。ヒロムはやられ姿を示しながらも、得意の投げ技で何とか反撃。切り返し合戦や同ロープ走り等を活用し、ジュニアらしいスピーディーな面は残した上で、時間を取りながら、ジュニアを超えた重厚なメインを作り上げる。正直ここまで徹底的に脚攻めに拘るのは、完成度は高くてもジュニアのビッグマッチには適した構築ではない。それでも押し通して、ヒロム対デスペラードの対戦は、他のジュニアとの試合とは違う、深い深い因縁があって、華麗さよりも削り合い、勝負論が大事なのだと示しているのは、単純なクオリティとしては普通に激しく華麗な試合をやる方が良いけれども、記憶に残る試合にするという意味では正解である。この頭があったからこそ、レフェリー失神のタイミングで、掟破りのナックル(ロコ・モノ)からマスク裂き、そしてデスペラードが破かれたマスクを、自分から剥ぎ取って素顔で戦うという選択を選んだ。この2人の関係性を考えれば、いずれそうなるはずだったが、もうここしかないということだろう。素顔での殴り合いや鋭いスーパーキックの攻防は、エモさ満点。ファンが語りたくなる名シーンとなった。正直それが独立して強烈なので、それまでの脚攻めが消え失せてしまった、脚攻めやヒールプレイを回収出来なかったことにより全体的な質は下がった。只試合を壊してでも後世に語り継がれる事を選んだのは、クオリティ至上主義の今の新日本らしくはないものの、非常に理解出来る。惜しむならば、ライガー対サムライの様にそこから更にもう何段階も上がっていくのではなく、あくまでもオマージュレベルの演出に留まってしまった所。デスペラードにも必殺技を打たせる位はしても良かった。

それでも記憶に残る好勝負であり、恐らく年間ベストバウト的な評価をされるだろう。それに値する要素は持っている。この後の同カードや2人のストーリーが更に飛躍するきっかけとなるだろう。好勝負。
評価:****

全体評価:7.5+

新日本プロレス レック Presents G1 CLIMAX 30 エディオンアリーナ大阪大会 10/10/2020
Aブロック公式戦
オカダ・カズチカ対鷹木信悟

試合開始から最後まで研ぎ澄まされていた一戦。冷静に試合を進めていたオカダが
鷹木の熱に飲み込まれて次第に熱くなっていき、レインメーカーとまではいかないが、ラリアットを解禁し打ち合いながら、各種ツームストーンを上手く活用し、必殺のマネークリップに回帰していく巧さも備える。熱さだけではなく、細かなダメージ表現や序盤中盤終盤の配置、時間配分、緩急の使い方、急に切り替えた時のスピード感と激しさ、これ以上はもうステージを変えるか、断崖式や雪崩式を増やすしかないなといえる完全無欠の内容。同じ遺伝子が入ってはいるが、道は全く違うルートを歩んできた両者の初遭遇とあって、期待値が高かったが、初遭遇で究極完全体になるとは誰も想像出来なかった。今年を代表する名勝負。5スターマッチです。
評価:*****