WWE NXT Takeover:WarGames IV 12/6/2020
ウォー・ゲームス
ショッツィ・ブラックハート、紫雷イオ、リア・リプリー&エンバー・ムーン対キャンディス・ラレー、ダコタ・カイ、ラクエル・ゴンザレス&トニー・ストーム

凶器を積極的に活用し、アクション量をとにかく増やす展開。小柄な腕達者が多いので、技を打っていくシーンで、ネタ切れ等はないものの、キャラクター力やスター・パワーは不足気味。リア対ゴンザレスの巨体対決を序盤の要に持って来たのは大正解だったが、それが終盤まで続かず、リアはイオのサポート役に徹していて、ゴンザレスはフィニッシュシーンまで出てこない。ドミネイターは他を犠牲にしてまでもドミネイターであるべきで、NXTとはいえどもWWEならそうあるべきだと思うのでこれは勿体なかった。スポット自体は中々の破壊力で、イオの、恐らく東北の英雄ではなく、CZW Cage of Death 6のセクシー・エディオマージュとも言えるゴミ箱を被ってのケージ・ダイブや立てた椅子へのエクリプスにゴミ缶を被せたイオへのダイビング・フットスタンプにフィニッシュの一撃と確実に男子の試合よりも過激な攻撃を放っていて見応えはあったものの、NXTとはいえ、WWEにしては作り込みが甘いと思うシーンも多くあり、そしてこのメンバー1番のハードコア巧者であるキャンディスが試合途中に負傷してしまったのも不運。華はあり能力も良いけれど、この試合もやっぱりパッとしないエンバーやトニーといったメンバーをサポートする役割もあっただけに、残念だった。唯一無二の華麗さで引っ張るイオやひたすら顔を出し攻守に奮闘したカイの頑張りで何とか繋いで見せた試合。面白みは高いが、NXTならもうひと伸び欲しかった。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

ストラップ・マッチ
デクスター・ルミス対キャメロン・グライムス

グライムス劇場再演。顔芸でも強さを増したアクション面でも、良くも悪くも癖の強いキャラクターと体格の良さしかないルミスをサポート。地味なストラップの使い方も、場外戦を多用する事で対応。グライムスのコメディ力の高さと試合構築能力の高さが光った一戦。終盤はネタ切れ感があったものの、椅子を導入する事で強引にまとめてみせた。中々良い試合。
評価:***1/2

NXTノース・アメリカン王座戦-トリプル・スレットマッチ
レオン・ラフ(c)対ジョニー・ガルガーノ対ダミアン・プリースト

NXTではやり切ったガルガーノとベビーフェイスっぽくはないプリーストという噛み合わなさを、チーズバーガーの完全上位互換ともいえるARフォックス門下生ラフというスパイスが、面白さをもたらしたのがこの試合。ラフのアンダードッグ性と要所で決まる見事なムーブの数々がこの試合を引き上げた。介入者やノーDQルールである点を活かしつつ、熱戦に仕上げてみせた。中々良い試合。
評価:***1/2

ウォー・ゲームス
アンディスピューテッド・エラ(アダム・コール、カイル・オライリー、ボビー・フィッシュ&ロドリック・ストロング)対パット・マカフィー、ピート・ダン、ダニー・バーチ&オニー・ローキャン

まずハードヒットが優れているのと乱戦が得意なのは違う。サイズが同じのストライカーやシューターを集めても、エンタメ性が求められるこの形式には合わない。最高の腕を持つメンバーは揃っているので、攻防の質や激しさは凄くても、ウォー・ゲームスよりもストリートファイト位の方が良いよねと思ってしまう。ベビーフェイスは出来るけれども、ヒールよりも優れているわけではないコールがリーダーのUEと、激しくてもヒールが全然得意ではないマカフィー軍団なので、これもミスマッチ。右腕役を上手くこなしてはいるけども、ピートもBSSではリーダーだったので、裏回しをするポジションは似合わない。マカフィーは華があるけども、要はシェイン・マクマホンみたいな飛び道具なので、リーダー兼試合の要みたいにするのは使いすぎ。プロモとスポット担当で十二分。でもそのマカフィーに頼らざるを得なかったのがこの試合。マカフィー以外皆同じ様なスタイルで同じ様なサイズでは視覚的なインパクトはない。やはり大柄のドミネイターやハイフライヤーでもいるべきだった。ヒールのUEは、ヒールプレイが使えるから良かったがそれはないので、PWGやROHならまだしもWWEのベビーフェイス軍団としては弱い。物量勝負は出来ているが、問題が構造上の欠陥なので手の打ちようがなく、これで頭部への椅子攻撃や流血があってもさほど変わらなかったはず。オライリーのプッシュにより、コールがオライリーを裏切る目処がほのかに立ったくらいで、メンバーが揃わないのなら、正直休止にしても良いレベル。中々良い試合。
評価:***1/2

全体評価:8