WWE NXT #420 - Super Tuesday II 9/8/2020
NXT王座新王者決定戦-時間無制限”サドン・デス”
アダム・コール対フィン・ベイラー

オーソドックスな流れを鋭くテキパキ行う事により雰囲気を作り出す。コールがマカフィーとの抗争を経てヒールではないニュートラルな立ち位置ということで、より実力の競い合いというイメージの強い内容が続く。中盤もそこそこに終盤へ。得意技や隠し技を交えた一進一退へ。テイクオーバーの様なボリューム増し増しではなく、極限まで無駄を削ぎ落とした内容。良い所だけを抽出した激闘ではあるものの、印象的な視聴率を稼げる試合かというと微妙。高値安定の好勝負だが、ソリッド過ぎて後で語るような内容ではない、近年のROHのPPVのメインの様な試合。AEWが高品質かつ後で語りたくなる好勝負を連発しているだけに少し苦しさは感じるものの、ロスターの入れ替えをしづらい所もあり、流石のNXTもストーリー面では停滞感は否めない。好勝負。
評価:****

スティール・ケージマッチ
リア・リプリー対メルセデス・マルチネス(w/ロバート・ストーン)

NXTとのトップであり、団体を背負って立つ人材でもあるリアに、大ベテラン、先駆者、業界屈指の強者メルセデスが挑む。個人的には凶器なしでも十分ハードにやれるのではと思ったものの、結局Retributionストーリーが動いていて、メルセデスがそこに出ないといけないこともあり、急ピッチで遺恨清算戦が組まれたので、エンタメ性を上げる意味でも凶器込みの試合となる。
展開付けとしては技を打ち合いつつ、凶器を使ったり、金網を使ったりとオーソドックスなもの。それでも迫力を生み出せるのは、技術もさる事ながら、フィジカル面の強さや雰囲気作りの力でもある。ストーンの介入も活用しつつ、エンタメ性もハードな面も両方作り出した上、最後はテーブルで上手く纏めて締め。時間はもう少し欲しかったのは否めないが、組んだ意味を示した内容になった。中々良い試合。
評価:***1/2

全体評価7.5

WWE NXT #430 11/18/2020
NXT女子王座戦
紫雷イオ(c)対リア・リプリー

イオはスピードと跳躍力、リアはパワーと手始めに己の持ち味を出した攻防で、この2人がどんなレスラーかを提示。それは残しつつ、それだけではない事も同時に示す。時間の制約がある中で、余計な展開はなく、良さが出る攻防のみを繰り出す。一言で表すなら「凝縮」だろう。間は取りながらも、スピーディーな攻防が続く。スター性やパワフルさでは屈指のものがあるが、試合構築という面ではまだ発展途上な所があるリアを、イオがアスリート性を見せる動きに腕攻めをミックスして、幅を広げたのは見事。流れる様にハイフライングと腕への関節技を織り交ぜるテクニックは流石の一言。実況席へのサンセット・フリップ・パワーボムを喰らい虫の息になりながらリングへ戻ったリアにムーンサルトを決めて勝利と、リアの格を落とさない配慮が効いたフィニッシュも絶妙。イオのレスラーとしての実力や経験値が、未完の大器リアを結果でも内容でも押し切った一戦。リアは才気に溢れているが、折角の恵まれた体格なので、もう少しパワフルさで押し切る強引さがもう少し欲しい。シャーロットがスピアーやビックブートで押しまくる様に型があれば、更に安定するはず。好勝負。
評価:****

WWE NXT #431 11/25/2020
KUSHIDA対ティモシー・サッチャー
OTTの様なカード。この試合に求める関節技やグラウンドの攻防がメイン。次第に噛み合っていくというよりは、2人が歩み寄ってアジャストしていったという表現の方が正しいか。決着はチャンパ絡みだったが、これ位の熱を常時出せる事が出来れば心強い。しかし両者共手の合いそうな選手のカードが減って来ているので、今後の展開には少し不安を覚える。中々良い試合。
評価:***1/2

ラダー・マッチ(勝者のチームはウォー・ゲームスで先に入場出来る)
ピート・ダン対カイル・オライリー

ハードヒットに関節技を交えたこちらも注文通りの内容。洗練された鋭さはやはり格別。約15分間に熱を逃さず魅力を凝縮するのは流石。只これも予想通りではあるが、ラダーはいらない。ラダーへのスープレックス等ハードなスポットもブリーフケースを取る為の攻防も上手く行ってはいるものの、巻きが入っている反動で、ダメージが軽くなり過ぎている。そこは流石に違和感を覚える。やっぱりラダーなしでもう一回見たい。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

全体評価:7