STARDOM
The way to major league 2020 2/8/2020
岩谷麻優対彩羽匠
当初は岩谷対Sareeeの一戦だったが、Sareeeの欠場により急遽彩羽が古巣に凱旋し、ノンタイトルではあるが王者に対戦するカードとなった。内容としては男子プロレスのエッセンスも多く取り入れつつも、女子プロレスらしい激しさを軸に、クライマックスは長与千種の技であるランニングスリーを巡る攻防で、急遽組まれたこの試合に大きな意味を与える。彩羽の威力の高い蹴りや鋭角な投げ等ドミネイトして、己の強さと岩谷のタフネスさを示す。岩谷はハードバンパーとしての魅力を示しつつ、攻めでも鋭い蹴りや浮遊感の高い飛び技等トータルでの強さを見せる。今でいう所の飯伏対内藤の様な、ハードヒッター対ハードバンパーの面白みや凄みがある内容に仕上がっている。スターダムには余りないベクトルの強さを元々スターダムでデビューした彩羽が、そのスターダムの生え抜きで先輩である岩谷に示し、ノンタイトルながら完膚無きまでに倒してしまうサプライズもアリと、この対決に至るまでの流れでも、試合の内容でもそして結末でも全て楽しめる好勝負。
文句無しに好勝負。
評価:＊＊＊＊1/4
STARDOM
CINDERELLA SUMMER IN NAGOYA 7/24/2020
ワールド・オブ・スターダム選手権試合
岩谷麻優(c)対ジャングル叫女
団体生え抜きのアイコン対決。叫女はパワーで、岩谷は動きのキレを軸で構築。スピーディーで激しいハードワークを20分行い続けるスターダムスタイルを体現。新日本×ドラゲーのエッセンスが多く含まれていて、試合のクオリティは確実。只一向にトップの赤ベルトを掴めない叫女、地元名古屋で戦う点を土台作りのために用意した腕攻めと絡めて、ドラマ性をもう少し生み出せれば更に試合は昇華したはずだが、まずは確実な試合をというのが勝ってしまった印象。ジャングル叫女の後藤洋央紀化はより進んでいる印象。木村花の為に勝ち取ったが使える今こそ短期間でも持たせておくべきだったのではないか。今後のビジネスの邪魔になるのなら、団体として木村花の影を払拭したい。そう思っている様に勘ぐってしまうハイレベルな普通に良い試合。
好勝負に届かない良試合。
評価:＊＊＊3/4
STARDOM
5★STAR GP 2020～優勝決定戦～ 9/19/2020
ブルースターズ公式リーグ戦
朱里対林下詩美
MMA対柔道というバックボーンの対決がある為、グラウンド主体の攻防も多いが、朱里に対しても体格のアドバンテージを活かしつつ、遜色なく戦えている林下はやはり逸材。対する朱里もつい最近までUFCで戦っていただけあり、単にテイクダウンからのグラウンドではなく、ローを蹴ってのタックルからグラウンドとミックスさせていて、現代MMA感を強く感じさせるのは流石の一言。
林下のパワー攻めは終盤も続くが、次第に地力と経験に勝る朱里が、攻め手を紡いでいくという展開もスリリングで良い。岩谷の王座に挑む予定である最強の朱里とスター候補で結果優勝した林下、2人とも負けさせられない流れの中で、2人の価値を保ちつつも良い試合をするという狙いは成功している。消耗戦の様相が強くなる一方で、ドラマ性で攻防が崩れていく事をフォローしきれてない所は見られたものの、ドロー決着がある意味一番説得力を持つ結末にしたのも良い。将来メインイベントになり得る可能性を持つ試合でした。
好勝負に届かない良試合。
評価:＊＊＊3/4
STARDOM
第10回 GODDESS OF STARDOM タッグリーグ戦
後楽園ホール大会 10/18/2020
ワールド・オブ・スターダム選手権試合
岩谷麻優(c)対彩羽匠
ローキック主体の厳しい攻めで冒頭5分は彩羽が圧倒。その後の5分は飛び技や切れ味鋭いトラースキック連発で岩谷が反撃と10分で終盤位のボリュームがあったがまだ中盤。初対決ではなく、既にライバル関係が築かれているとはいえ、かなり性急な展開ではあったが、それを10分で良い塩梅に調節したバランス感覚が素晴らしい。その後もペースは落ちず、ハードヒットや鋭い投げを中心に、死力を尽くした攻防が続く中、アクセントの付け方や攻防の切り方も絶妙。かなりのハイペースで試合が進む中でもダレずにキープ出来る要因であった。只20分前後からフィニッシュにかけては、ラナ系のクイック対彩羽のボム、ドライバー系の攻防とそれ自体は良いものの、余りにも多いともう少しクイックの種類もあればとそこが惜しかった。岩谷もインタビューで丸め込みしかなかったというコメントを残していたが、後一捻りあればより最高だったものの、それですらも傷にならない程濃密で、過酷な激闘。前半を無駄にしない意気込みとそれを狙い通りに最高のクオリティで実現出来る実力が見事。名勝負。
評価:＊＊＊＊1/2