WWE Hell In A Cell 2020 10/25/2020
WWEユニバーサル王座戦-ヘル・イン・ア・セル& I Quitマッチ
ローマン・レインズ(c)対ジェイ・ウーソ

アノアイファミリーによるアノアイファミリーの為の試合。完全パーソナル。レインズが復帰する条件として挙げたのが、家族による愛憎劇をやりたかった。主演兼監督とクリント・イーストウッドばりの活躍を見せたレインズ。かつてはマクマホン家が行っていた家族抗争。もうHHHを含めてマクマホン家が出来なくなった今、それを出来るのはアノアイファミリー。歴史的名作となった昨年のコーディ対ダスティンによるローズ家の家族抗争にも感化された所はあるかもしれない、アイクイット戦という事を活かしとことんコテコテのドラマ仕立ての試合を用意。
ジェイのアンダードッグ性や躍動感は大きな要素ではあるものの、やはりヒール・レインズの大立ち回りこれが全て。アクション数は少なく、必殺技連発で、凶器も鉄階段やストラップと渋めなのも、レインズの立ち振る舞いが最大の見せ場なので、凶器で邪魔させない為。コロナ禍ではなく客席に観客がいたらここまで内々の内容はあり得ないだろうという内容だが、どうしてもやりたい内容なので、力の入れ具合は凄まじい。ジミーが出て来てからのドラマ性の跳ね上がり具合も凄まじく、更に試合後ワイルド・サモアンズのアファ&シカ(レインズの父親)まで登場させれば文句無し。今のビンス1人にここまでの内容を用意出来ないはずなので、レインズのクリエイティブ・コントロールがかなり効いていると推測する内容だが、他には出来ない、今このメンバーにしか出来ないオンリーワンの内容に仕上がっている。満腹感満載の激戦。

好勝負。
評価:****

WWE SD女子王座戦-ヘル・イン・ア・セルマッチ
ベイリー(c)対サーシャ・バンクス

善悪を明確に示す様なコスチュームの白と黒。抗争を支える椅子は、Xマークに装飾。怒りに燃えるサーシャと上手くいなしながら、トラッシュトークを効かせつつ憎々しく試合を進めるベイリー。ベイリーのヒールターン。プロモの質の割に試合の質がついてこなかった所はあるが、盟友サーシャとの抗争に合わせたかの様に両方が仕上がっていったのは見事。
PG縛りやインパクト不足といった懸念材料も、椅子や竹刀を徹底的に活用する創意工夫により、大きなプラスを生み出す事に成功。
コーナーに設置した椅子へのサンセット・フリップ・パワーボムや今回インパクト不足を補う為、いつも以上に多用した各種メテオラは、激しさを生み出す事に成功している。安易な過激化に頼らず、煽りVに出ていたシーンを再現した攻防を徹底的に繰り出し、ストーリーを回収したのは素晴らしい。シンプルな裏切りからの仲違いを確実に昇華してみせた。両者の表情の豊かさや表現力にも脱帽。ベッキー、シャーロットが抜けた大きな穴を埋めるべく4HWの2人が躍動。トップスターたる所以を示した名勝負。
評価:****1/2

WWE US王座戦
ボビー・ラシュリー(c)対スラップジャック

インパクト対ノアのG+ダービーが遂に実現。キャノンボール・アタックにシェイン・ヘイスト(ソーン)の残り香を感じるが、ラシュリーが難なく撃退。レトリビューションは、ムスタファ・アリを登用しているのは良いものの、プランなさ過ぎで色々問題が山積み。
評価:**

WWE王座戦-ヘル・イン・ア・セルマッチ
ドリュー・マッキンタイア(c)対ランディ・オートン

オートンがストーリーを反映した奇襲を仕掛けるも、マッキンタイアには効かず、そのまま一進一退へ。金網を使ったり、椅子や鉄階段を使ったりとゆったりと時間を使いながらハードコアファイトを展開。抗争三戦目でHIAC。本来なら大流血戦と行きたいがPG縛り。ならばとドラマ仕立てで行きたい所だがそれはオープニングで盛大に行ってしまった。なので凶器を使っても演出感を強めても最終的に行き着く先がない。通常の攻防で整えながら、終盤へのセッティングをしていく。この2人なので安定した内容には出来るが、一戦目のインパクトは中々越えられない。何とか壊れない様に紡いでいくものの、クライマックスに向けてセルを登る両者。他2試合のセル戦との差別化しか理由がないこの行動。HHH対ジェリコのセル戦ばりにとってつけたセル上の攻防。高所落下もあるものの正直浮いたまま。最後の必殺技の攻防もそのセルの攻防が反映されない攻防と、他に配慮し過ぎた結果の失敗作となった。レインズの方がオートンよりもクリエイティブの優先権を持っていたという風にしかならない内容。やはりオープニングのドラマ仕立ての内容をメインに振り分けたかった。平均的良試合。
評価:***1/4

全体評価:8.5