アイスリボン 

「アイスリボン横浜文化体育館大会FINAL」 

8/9/2020

オレンジ・サンライズ(朝陽&藤田あかね)対紫雷美央&青野未来
石川の欠場によりコーチも務めている美央が急遽5年ぶり一夜限りの復帰。コンディションもファイトもアメリカなら「You Still Got It!!」チャントが鳴り響くほど健在な姿を見せる美央。現役の選手達を立てようとしているものの、一挙手一投足に目を奪われる為、やはり目立ってしまう美央。それに負けじとアンダーカードとは思えないほどキビキビとした試合になり、パートナーである青野も存在感を見せ、朝陽の復帰戦に華を添えるという目的も果たし、注目の的にもなる。目的を全て果たした一戦。平均レベル。
評価:***

トライアングルリボン選手権試合 
本間多恵(c)対ラム会長対趙雲子龍

実力者2人とチャレンジャーではあるが、抜群の存在感を放つラム会長の3ウェイ。ラム会長を真ん中に据えつつも、それぞれの持ち味を発揮。趙雲がバランサーになり、本間はサブミッションで繋ぎ、そして主役であるラム会長が締める。他の2人の繋ぎの巧さがあるからこその試合ではあるが、我こそはと他を抑えている訳ではないが、要所の働きだけで纏めてしまう。ナチュラルボーン・エース。まさに類稀なる才能。ベルトを持たせながら実力を上げて経験を積ませる。ラム会長の防衛ロードは楽しみである。平均より上。
評価:***

FantastICE初代王者決定戦-オンリー3カウントルール
世羅りさ(w/オルカ宇藤)対山下りな

通常形式の攻防、場外戦からハードコア、そしてデスマッチと丁寧に積み上げていく展開。凶器なしでも団体トップのベルトを巻いている両者なので、当然オーバースペック。問題はないものの、大会場ビッグマッチということを考えると、掴みとなるスポットは一つ序盤に欲しかった所。中盤のハードコアパートも身体の張り方や技術面は問題ないものの、一押しの弱さは否めず。終盤は、蛍光灯束や扇に巨大ラダーを使った攻防で、大流血もあり、盛大に盛り上げた。女子同士のデスマッチのレベルとしてはかなり高く、20分のロングマッチを大きなミスもなくやり切る技量と安定感は素晴らしいが、まとまり過ぎて突き抜けた試合にはならなかったのが惜しい。後楽園サイズで再戦希望。中々良い試合。
評価:***1/2


ICEx∞選手権試合
雪妃真矢(c)対鈴季すず

早いスパンで再戦となったこの試合。元々文体のメインカードであるので、正式に仕切り直し。しかも鈴季は成長する機会も与えられたので、結果オーライで良かった部分もなくはない。
試合の軸は雪妃がリードしつつ、鈴季がアグレッシブに応戦する形と前回同様。鈴季は技を増やしていて、ジョニー・ガルガーノの得意技ハーツ・ドーナツ(フルネルソン・フェイスバスター)等を披露。メイン用に繋ぎの技を増やしたのは堅実。まだ使いどころや魅せ方についてはこれからではあるものの、身体能力を活かした攻撃も含め、変に縮こまって地味になるよりも、トレンド技の方が簡単にボリュームを増やす事が出来る。
当然雪妃が試合構築の大部分を担当し、脚攻めのセルもやはり見事。メインイベントを難なく務め上げる試合の幅もあり貫禄の姿を見せる。しかし王座交代を控えている事もあり、前回の試合程支配力は抑えている。鈴季が今後更なる成長を遂げた際は、支配力を強めた全開の雪妃を相手にして欲しい所。鈴季の実力を超える23分ものロングマッチは、試合の質を落としてでも成立をさせる必要があるので、どうしても停滞感は生まれてしまうものの、得意技大技中心の攻防で何とか踏みとどまってメインを成立させた。雪妃のリードがあってこそではあるものの、踏み止まれるのは鈴季の才能の力でもある。並のレスラーは当然そのキャリアではメインには上がれない。しかも何度も。文体の様な大舞台で。その素養の高さは早すぎる成長曲線と共にずっと見せ続けてくれている。ジュリアの時には選ばなかった、ベルトを巻かせながら育てるという選択。若きエース候補の今後に期待するのと同時にベルトを失った絶対王者雪妃については、今はコロナ禍で国外に動けないが、是非海外マットに参戦して、メジャー団体との契約を勝ち取ってほしい。本人がその気なら、マイナーチェンジを施せばすぐにでも、WWEやAEW等で活躍出来る。平均的良試合。

評価:***1/4

全体評価:7.5+