「貸して」と言われた瞬間、うちの3歳の娘は決まってブロックをぎゅっと抱え込んで固まる。半泣きで「イヤ」と繰り返す娘に、僕は最初「貸してあげなさい」と何度も言い聞かせていた。周りのママさんたちの視線が痛くて、つい焦って娘を急かしていたんだと思う。でも脳科学を知ってから、あの声かけは逆効果だったと気づいた。

■なぜ「貸して」と言われても貸せないのか

3歳前後の子どもは、理性や我慢を司る前頭前野がまだ発達の途中にある。「今使いたい」という強い欲求を抑える力がまだ弱く、感情のブレーキが利きにくい時期なのだ。さらに「一度手放したら二度と戻ってこないかもしれない」という所有への不安も強く、これはわがままではなく、成長の自然な一段階にすぎない。

 

■「貸してあげなさい」がNGだった理由

無理やり貸させることを繰り返すと、子どもは「自分の気持ちより相手を優先しなきゃいけない」と学習してしまう。すると次第に、自分の「イヤ」という気持ちを飲み込むクセがついてしまう可能性がある。長い目で見れば、それは「自己主張できない子」を育てることにつながりかねない。

 

■僕が変えた3つの声かけ

 

1. まず気持ちを受け止める

「今使いたいんだよね」と、貸すかどうかの前にまず気持ちに共感する。否定されずに受け止めてもらえたと感じると、子どもはその後の提案を素直に聞き入れやすくなる。

 

2. 見通しを一緒に決める

「あと3回やったら貸してあげる?」など、具体的な数や順番で見通しを示す。3歳児はまだ時間の感覚が曖昧なので、「もうすぐ」より「あと3回」の方がずっと伝わりやすい。

 

3. 貸さない選択も認める

「今は貸せないよ、って言ってもいいんだよ」と伝える。貸すことだけを正解にせず、断る練習も大切な社会性のひとつだと捉えるようにした。その代わり、「あとで貸すね」など相手にどう伝えれば納得してもらいやすいかを一緒に考えている。

 

 

 

■3歳差きょうだいで見えてきた違い

6歳の長男は、少しずつ相手の気持ちを想像して自分から「あとでね」と言葉にできるようになってきた。一方3歳の娘はまだそこまで言葉にできないので、僕が「貸して」「今はダメ」の言葉を一緒に添えながら、やりとりの練習に付き合っている段階だ。同じ声かけでも、年齢によって関わり方の分量を変える必要があると実感している。

 

■よくある質問

 

Q. おもちゃを貸せない子はわがままなのでしょうか?

A. いいえ、多くの子に見られる自然な発達段階です。無理に矯正しようとしなくて大丈夫。

 

Q. 「貸して」が言えるようになるのはいつ頃からですか?

A. 個人差はありますが、3〜4歳頃から相手の気持ちを想像する力が育ち始め、少しずつ「貸して」「いいよ」のやりとりができるようになる子が増えてきます。

 

Q. 発達障害と関係がありますか?

A. 順番や貸し借りが苦手なこと自体は、多くの子どもに見られる自然な発達過程であり、それだけで判断できるものではありません。気になる場合は、園の先生や地域の子育て相談窓口に相談してみるのもひとつの方法です。

 

■まとめ

「貸して」と言われて固まる娘を見て、僕は最初「困った子だな」と思っていた。でも脳科学を知ってからは、それは成長の途中にある自然な姿なんだと分かるようになった。今は無理に貸させるのではなく、まず気持ちを受け止めてから一緒に考える声かけに変えている。同じように悩んでいるパパ・ママの参考に少しでもなれば嬉しい。