夕方、晩ごはんの準備をしていると、3歳の娘がリビングでスマホの動画に釘付けになっている。「そろそろ終わりね」と声をかけた瞬間、娘の顔がみるみる歪んで「イヤァァ、まだ見る!」と叫び、スマホを両手でぎゅっと抱え込む。取り上げようとすればさらに激しく泣き、結局その日の家事は全部後回しになる。
そんな毎日の攻防に疲れ果てていた僕が、脳科学の視点を知って動画タイムの終わらせ方を変えたら、娘が泣き叫ぶ回数がぐっと減った。今日はその声かけを紹介したい。
■なぜ子どもは動画を「今すぐ」やめられないのか
動画は次々に新しい映像が流れる設計になっていて、見るたびに脳の中で快感物質のドーパミンが出る仕組みになっている。大人でもSNSやニュースアプリを延々見てしまうのと同じ原理だ。
さらに厄介なのは、「もうそろそろやめよう」とブレーキをかける脳の部分、前頭前野が3歳児ではまだほとんど育っていないということ。楽しいことをやめる判断も、気持ちを切り替える力も、大人のようにはできない。だから「終わり」の一言は、娘にとって好きなおもちゃを突然取り上げられるのと同じ強い喪失感になっていたのだと知った。
「わがまま」でも「甘やかしすぎ」でもなく、脳の発達段階として当然の反応だったのだ。
■僕が変えた3つの声かけ
1. 終わる前に「予告」する
いきなり「終わり」と言うのをやめ、「あと1本見たら終わりね」と事前に伝えるようにした。心の準備をする時間を与えるだけで、いきなり奪われたという感覚がだいぶ和らぐ。
2. 「終わり方」を娘に選ばせる
「あと2分にする?3分にする?」と、終わるタイミングそのものを選ばせるようにした。決めたのが自分だと、娘自身も納得してスマホを差し出してくれることが増えた。
3. 動画のあとの楽しみをセットで伝える
「終わったら一緒にお風呂で泡遊びしよう」など、動画をやめた先に楽しいことが待っていると伝えるようにした。「終わり=つまらない」から「終わり=次の楽しいこと」に意味を変えるだけで、切り替えのハードルがぐっと下がる。
この3つを続けるうちに、娘が自分からスマホを渡してくれる日が増えてきた。もちろん今でも泣くことはあるが、以前のような大癇癪にはならなくなった。
■よくある質問
Q. 何歳から動画を見せていい?1日どれくらいが目安?
A. 日本小児科医会は2歳までのメディア視聴を控えることを推奨し、2歳以降も1日2時間以内を目安としている。我が家では平日は夕方に30分程度、休日はもう少し長めなど、生活リズムに合わせて緩やかに区切っている。
Q. 動画の見せすぎで発達に影響はある?
A. 動画そのものが発達障がいを引き起こすわけではないとされているが、長時間の視聴で会話や外遊びの時間が減ると、発達に似た行動が現れることがあると言われている。時間より「何をする時間が減っているか」を意識するようにしている。
Q. 癇癪を起こしたとき、無理やり取り上げてもいい?
A. 無理に取り上げると余計に泣き叫び、逆効果になりやすい。上に書いた3つの声かけのように、事前予告と選択肢を与えることで、取り上げる場面自体を減らす方が結果的にスムーズだと感じている。
■まとめ
動画をやめない娘に毎日イライラしていたが、脳がまだ「今すぐやめる」ことが苦手な発達段階にあると知っただけで、僕自身の受け止め方が変わった。「予告する」「選ばせる」「次の楽しみを用意する」、この3つの声かけは今日からすぐ試せるので、同じように動画タイムの攻防に疲れているパパ・ママの参考になればうれしい。