「ねえ、ちゃんと聞いてる?」

 

絵本を読み始めて3ページ目くらいで、僕はいつもこう聞いてしまいます。3歳の娘は途中でページをめくろうとしたり、急に立ち上がっておもちゃを取りに行ったり、返事もせずどこかへ行ってしまう。読み聞かせは子どもの成長にいいと聞いて始めたのに、これじゃ逆にイライラしてしまう。そんな日が続いていました。

 

■なぜ3歳児は絵本の途中で飽きてしまうのか

 

脳科学的に見ると、これは娘のわがままではありません。人が「集中を持続させる」役割を担っているのは脳の前頭前野という部分ですが、ここは人間の脳の中でもっとも発達が遅く、3歳の時点ではまだ働きが未熟です。だから3歳児が絵本1冊、しかも大人のペースでじっと座って聞き続けるのは、体力の問題ではなく脳の発達段階として難しいのです。

 

さらに3歳は「自分でやりたい」気持ちが急激に育つ時期でもあります。ページをめくりたい、気になった絵を触りたい、といった衝動は、決して読み聞かせが嫌いだからではなく、脳が正常に発達している証拠だと知ってから、僕は娘にイライラすることが減りました。

 

■声かけ1「どっちから読む?」で選ばせる

 

以前の僕は本棚から自分で選んだ絵本を、頭から順番通りに読んでいました。これだと娘にとっては「聞かされている」時間でしかありません。今は読む前に「この絵本とこの絵本、どっちにする?」「表紙から読む? それとも好きなページから読む?」と娘に選ばせるようにしています。

 

自分で選んだという感覚が生まれるだけで、同じ絵本でも娘の食いつきは変わりました。前頭前野が未熟な3歳児にとって、「やらされる」ことより「自分で決めた」ことのほうが行動が続きやすいのは、脳科学の分野でもよく知られています。

 

■声かけ2「わんわん、どこにいる?」で参加させる

 

黙々と文章を読み上げるだけだと、3歳児にとって読み聞かせは「聞くだけの受け身の時間」になってしまいます。今は絵本の途中で「わんわん、どこにいるかな?」「次は何が出てくると思う?」と娘に問いかけながら読むようにしています。

 

指をさして答えたり、大きな声で真似したりと、娘自身が絵本に参加できる仕組みを作ると、途中で立ち上がる回数が明らかに減りました。受け身で聞くだけの時間から、自分も参加できる遊びの時間に変えることが、3歳児の集中を引き出すコツだと感じています。

 

■声かけ3「ここまで読めたね」で途中で終わってもいいと伝える

 

一番効果があったのは、最後まで読み切ることをやめたことです。以前は「最後まで座って聞く」ことをゴールにしていたので、娘が途中で離れると僕自身がイライラしていました。今は3ページでも5ページでも、娘が席を立ったタイミングで「ここまで読めたね、またあとで続き読もうね」と声をかけ、無理に引き止めません。

 

途中でやめても怒られない、また今度読めばいいと分かると、娘のほうから絵本を持ってくる回数が増えました。読み聞かせの目的は「1冊読み切ること」ではなく「絵本を楽しい時間だと感じてもらうこと」だと僕の中で目的を変えたことが、一番大きな声かけの変化だったと思います。

 

■よくある質問

 

Q. 読み聞かせは何歳から始めればいいですか?

A. 早ければ0歳の赤ちゃんの頃から始めても問題ありません。ただし0歳〜2歳頃はストーリーを理解させることより、絵や声のリズムを一緒に楽しむことを目的にすると気楽に続けられます。3歳頃からは今回紹介したような「選ばせる」「参加させる」声かけが効果を発揮しやすくなります。

 

Q. 読み聞かせをまったく聞かない日は無理にやらなくていいですか?

A. はい、無理に続けなくて大丈夫です。子どもの気分が乗らない日は、絵本を開くだけ、表紙を見るだけでも十分です。「今日はやらなかった」と自分を責めず、また明日誘えばいいくらいの気持ちでいるほうが、結果的に長く続けられます。

 

Q. 読み聞かせをしても効果を感じません。意味がないのでしょうか?

A. 読み聞かせの効果はテストの点数のようにすぐ数字で見えるものではなく、語彙力や想像力、親子の愛着形成といった形で少しずつ積み重なっていくものです。短期的な変化が見えなくても、一緒に絵本を楽しむ時間そのものに価値があると僕は考えています。

 

■まとめ

 

3歳の娘が絵本の途中で逃げ出すのは、わがままでも読み聞かせが嫌いなわけでもなく、前頭前野がまだ発達段階にあるという脳の仕組みが理由でした。「選ばせる」「参加させる」「途中でやめてもいいと伝える」の3つの声かけに変えてから、娘のほうから絵本を持ってくることが増え、読み聞かせの時間そのものが穏やかになりました。もし同じように悩んでいるパパ・ママがいたら、今日から一つだけでも試してみてください。

 

■今回の記事で紹介した「参加型」の読み聞かせにおすすめの絵本