公園で「そろそろ帰るよ」と声をかけた瞬間、3歳の娘の顔がみるみる曇って「まだ遊ぶ!やだ!」と地面に座り込んでしまう。テレビを消そうとしただけで泣き叫ばれたこともあります。

「わがままな子」なのかと落ち込んだこともありましたが、脳科学的にはこれ、ごく普通のことだと知りました。今回は、僕が実際に試して効果があった「気持ちの切り替え」の声かけを3つ紹介します。

 

■切り替えが苦手なのは「わがまま」じゃなく、脳の発達段階の話

 

「今やっていること」から「次にやること」へ気持ちを切り替えるには、感情をコントロールする脳の部位「前頭前野」の働きが欠かせません。この前頭前野は、脳の中でも成長がいちばん遅く、大人になるまでゆっくり育っていく部分だと言われています。

3〜5歳ごろの子どもは、まだこの機能が発達の途中。「あと5分だけ」が理解できないわけではなく、頭でわかっていても気持ちが追いつかないのです。「わがまま」ではなく「まだ練習中」だと捉え直すだけで、僕自身、娘への声かけがずいぶん穏やかになりました。

 

■発達障害を疑う前に、まず知っておきたいこと

 

「うちの子だけ切り替えが下手なのでは」「発達に問題があるのかも」と検索してこのページにたどり着いた方もいるかもしれません。僕も同じように不安になった経験があります。

切り替えの苦手さそのものは、多くの子に見られる一般的な発達の一部です。ただ、①切り替えの苦手さに加えて強いこだわりや感覚の過敏さが目立つ、②年齢が上がっても改善の兆しがほとんど見られない、③園や学校の集団生活で本人が大きく困っている、といった様子が重なる場合は、自己判断で抱え込まず、園の先生や自治体の発達相談窓口、小児科などに相談してみるのも一つの選択肢です。心配しすぎる必要はありませんが、「気になる」という感覚を持ったこと自体は、決して悪いことではありません。

 

■僕が実際に試した「気持ちの切り替え」の声かけ3つ

 

①「終わり」をいきなり告げず、事前に予告する

3歳の娘には「もう帰るよ」ではなく、「滑り台をあと3回やったら帰ろうね」と、遊びながら具体的な回数を予告するようにしました。カウントダウンは指を折って一緒に数えると、視覚的にも「終わり」が伝わりやすくなります。いきなり行動を止められるショックがなくなるだけで、癇癪の頻度がぐっと減りました。

 

②「やめる」ではなく「選ばせる」形にする

6歳の長男には「テレビ消して」ではなく、「このアニメが終わったら消す?それとも今の場面が終わったら消す?」と、切り替えるタイミングを本人に選ばせるようにしています。結果はどちらも「消す」なのですが、自分で決めたという感覚があるだけで、驚くほど素直に切り替えてくれます。子どもは「コントロールを奪われること」に抵抗しているだけで、行動自体を嫌がっているわけではないのだと気づきました。

 

③気持ちを代弁してから、次の行動を伝える

それでも切り替えられず泣いてしまったときは、「まだ遊びたかったね」「悲しいね」と、まず気持ちに名前をつけて代弁するようにしています。気持ちを分かってもらえたと感じると、子どもの興奮は驚くほど早く落ち着きます。そのうえで「おうちに帰ったら、電車のおもちゃで遊ぼうね」と次の楽しみを一言添えると、涙が止まりやすくなりました。「泣き止ませる」のではなく「気持ちに寄り添ってから次に進む」という順番が、遠回りに見えて実は一番の近道でした。

 

■声かけと一緒に使うと効果的だったグッズ

 

言葉だけの予告だと伝わりにくい日もあるので、我が家では見てわかるキッズタイマーも併用しています。針や砂が減っていく様子が見えるタイプは、「あと少し」が視覚的にわかるので、切り替えの練習にちょうどよかったです。

 

 

 

■よくある質問

 

Q. 気持ちの切り替えが苦手なのは何歳ごろまで続きますか?

A. 個人差が大きいですが、切り替えを司る前頭前野は小学校低学年ごろにかけて少しずつ育っていくと言われています。3〜5歳で切り替えが苦手なのは自然な段階で、年齢が上がるにつれて予告や見通しがあれば自分で気持ちを整えられる場面が少しずつ増えていきます。焦らず、その子のペースで練習を積み重ねることが大切です。

 

Q. 場面の切り替えが苦手な子への環境づくりで気をつけることは?

A. 「急に」を減らすことがいちばんのポイントです。次の予定を事前に伝える、行動の切れ目が視覚的にわかるタイマーや時計を使う、慌ただしい時間帯はできるだけ選択肢を減らしてシンプルにする、といった工夫が有効です。また、疲れている・お腹が空いているなど別の要因が重なると切り替えはさらに難しくなるので、生活リズムを整えておくことも地味に効果があります。

 

■まとめ

 

切り替えが苦手なのは、わがままでも、育て方のせいでもありません。①事前に予告する、②本人に選ばせる、③気持ちを代弁してから次を伝える。この3つを続けるうちに、娘の癇癪の頻度は目に見えて減りました。今、目の前で泣いている我が子を見て「困った子」ではなく「まだ練習中の子」だと思えるだけで、僕自身の気持ちもだいぶラクになります。同じように悩んでいる方の、今日の声かけが少しでも軽くなればうれしいです。