土曜日の夕方、スーパーのお菓子売り場。3歳の娘が「これ買って!」と泣き叫び、その場に座り込んだ。周りの視線が痛い。隣で6歳の息子が「もう…」という顔でこっちを見てくる。

 

以前の僕は、その場で「いい加減にしなさい!」と声を荒げていた。でも怒れば怒るほど、娘の泣き声は大きくなる一方だった。買い物どころじゃなくなって、結局何も買わずに店を出たことも一度や二度じゃない。

 

脳科学を学んでから分かったのは、「スーパーで癇癪が起きやすいのは、子どもがワガママだからじゃない」ということだ。ちゃんとした理由があった。その理由を知ってから声かけを変えたら、癇癪の頻度も、僕自身の疲れも、驚くほど減った。今日は僕が実際に試して効果があった3つの声かけを紹介する。

 

■スーパーで癇癪が起きやすいのは、脳の仕組みのせいだった

 

スーパーという場所は、実は子どもの脳にとってかなりの負担がかかる環境だ。

 

まず、音・光・人混みといった感覚情報が一気に押し寄せる。大人には気にならないBGMや店内放送、行き交う人の多さも、子どもの脳はすべて処理しようとして疲れてしまう。

 

さらに、買い物の時間帯はお昼寝明けや夕方など、空腹や疲労が重なりやすい。血糖値が下がると、感情をコントロールする脳の部位「前頭前野」の働きが鈍くなることが知られている。

 

そして一番大きいのが、「欲しい」という気持ちを我慢する脳の機能そのものが、まだ育っていないという点だ。3歳の娘にはこの機能はほぼ備わっていないし、6歳の息子でもまだ発展途中で、日によって我慢できたりできなかったりする差が大きい。つまりスーパーでの癇癪は、しつけの失敗ではなく、脳の発達段階として当然起きることだった。

 

■僕が試して変わった3つの声かけ

 

①店に入る前に「見通し」を伝える

 

お菓子売り場を目の前にしてから「今日は買わないよ」と言っても、もう脳が興奮状態に入っていて言葉が届かない。だから僕は、駐車場や店の入り口で、まだ何も見ていない落ち着いた状態のうちに「今日は牛乳とパンだけ買うよ、お菓子は見るだけね」と先に伝えるようにした。約束を守れる確率が、体感でかなり上がった。

 

②叱る前に「気持ち」を認める

 

泣き始めてしまったら、まず「そのお菓子好きだよね、欲しいよね」と気持ちを認める言葉を先に言う。「ダメ」から入らずに「わかるよ」から入るだけで、驚くほど早く落ち着くことが多い。気持ちを分かってもらえたと感じることが、子どもにとっては安心材料になるようだ。

 

③6歳と3歳、それぞれに「役割」を与える

 

6歳の息子には「カートに入れる物、一緒にチェックしてくれる?」とお手伝い役を任せる。注意が買い物リストに向くし、頼られている感じが自信にもつながる。3歳の娘には自分専用の小さいバッグを持たせて、選んだ野菜を自分で入れてもらうようにした。「参加している」という感覚があるだけで、ぐずりが減る。

 

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■よくある質問

 

Q. スーパーで泣き叫ぶ子どもには、その場でどう対応すればいいですか?

 

まずは安全を確保して、可能であればレジ付近や人通りの多い場所から少し離れる。無理にその場で言い聞かせようとせず、大声で怒鳴らないことが最優先だ。落ち着くまで待つ、というシンプルな対応が結局一番効く。

 

Q. 癇癪がひどいとき、根負けして買ってあげてもいいですか?

 

その場を収めるために買ってあげることが続くと、「泣けば買ってもらえる」と学習してしまう可能性がある。基本的には避けたいところだが、毎回完璧にできなくても大丈夫だ。僕自身、疲れ切っていて根負けした日もある。それで自分を責めすぎないことも大事だと思う。

 

■まとめ

 

「欲しい」を我慢する脳の機能は、3歳ではほぼ育っていないし、6歳でもまだ発展途中だ。だからスーパーでの癇癪は、子どもの性格の問題じゃなく、脳の発達として自然なことだった。

 

店に入る前、まだ何も欲しいものを見ていない「フラットな状態」で予告するほうが、圧倒的に約束を守りやすい。

 

泣き叫ぶ子どもを叱るより先に、「そのお菓子欲しいよね」と気持ちを認めるだけで、驚くほど早く落ち着くことがある。

 

今日はうまくいかなかった日があってもいい。完璧を求めなくていい。そう思えるようになってから、僕自身が買い物中にイライラすることも減った気がする。