毎晩、仕上げ磨きの時間になると、長女(当時2歳)が「イヤァァ!」と叫んで逃げ回っていた。ようやく捕まえても、体をのけぞらせて口を固く閉じる。仕方なく僕が羽交い締めのような体勢で無理やり口をこじ開けて磨く。数十秒で終わるはずの仕上げ磨きが、毎晩の小さな戦争になっていた。
「虫歯にさせたくない」という一心で必死にやっていたけれど、泣き叫ぶ娘を押さえつけている自分に、正直かなり嫌気がさしていた。同じように悩んでいるパパ・ママは多いと思う。今日は、脳科学的な理由を知ってから僕が変えた3つの声かけを紹介したい。
■なぜ2歳前後の子は歯磨きを嫌がるのか
調べてみると、2歳前後で歯磨きを激しく嫌がるのは、性格の問題でも、しつけの失敗でもなく、脳の発達段階として自然なことだとわかった。理由は主に3つある。
1つ目は、感情をコントロールする前頭前野がまだ育っていないこと。「嫌だ」と感じたら、それをそのまま声と体で表現してしまうのは自然な反応で、抑える機能がまだ十分に備わっていない。
2つ目は、ちょうど自我が芽生える時期と重なること。「自分でやりたい」「自分で決めたい」という気持ちが強くなる一方で、歯磨きは親が一方的に行う行為になりやすい。
3つ目は、口の中がとても敏感な感覚器官だということ。歯ブラシの毛先が歯茎に当たる感触や、知らない味・匂いが口に入ってくる不快感は、大人が思う以上に強く感じられているらしい。
「嫌だ」と暴れるのは、性格が悪いわけでも、しつけがなっていないわけでもなく、脳がまだ育っている途中というだけだった。
■僕が試して効果があった3つの声かけ
理由がわかったところで、実際に試して効果があった声かけを3つ紹介したい。
1.「どっちにする?」で選ばせる
歯ブラシを2本並べて「今日はこっちとこっち、どっちにする?」と聞くようにした。磨くこと自体は避けられなくても、選ぶ権利を渡すだけで娘の抵抗はかなり減った。自分で選んだという感覚があるだけで、子どもの抵抗はぐっと減る。歯磨き粉の味を選ばせる、磨く順番(上から?下から?)を選ばせる、なんでもいい。
2. 数を数えて終わりを見せる
「10数えたら終わりね」と、磨き始める前に必ず宣言するようにした。終わりが見えないものほど、子どもは頑張れない。見通しが立つだけで、耐える時間が「終わりのない苦痛」から「あと少し」に変わるらしい。実際、数える声に合わせて口を開けてくれることが増えた。
3. 鏡の前で「一緒に見る」
仕上げ磨きの体勢(仰向けで押さえつける)をやめて、洗面台の鏡の前に立たせ、僕も一緒に鏡を見ながら磨くようにした。押さえつけられている感覚がなくなるだけで、嫌がり方が変わった。自分の口の中が鏡に映るのが単純に面白いようで、「見てて」と声をかけると割とおとなしく口を開けてくれる。
3つとも今日からできる小さな工夫だけど、羽交い締めにする回数は明らかに減った。3歳になった今も歯磨きが大好きというわけではないけれど、少なくとも毎晩の戦争ではなくなった。
■よくある質問
Q. 歯磨き嫌いはいつまで続きますか?
個人差はあるが、自我や感覚のコントロールが育つにつれて少しずつ落ち着いていくことが多いようだ。うちの場合も、2歳のピークに比べると3歳になった今はかなり楽になった。
Q. 泣いても無理やり磨いたほうがいいですか?
虫歯予防の観点では、多少泣いても仕上げ磨き自体は続けたほうがいいという意見が多い。ただ、力づくで押さえつける時間が長くなるほど歯磨き自体への苦手意識が強まる可能性もあるため、短時間で終わらせる工夫と併用するのがおすすめ。
Q. 歯磨きを嫌がらなくなるグッズはありますか?
子どもが自分で選んだお気に入りのキャラクター歯ブラシや、フルーツ味の子ども用歯磨き粉に変えただけで機嫌が変わることもある。下に、我が家で実際に使っているグッズを紹介しておく。
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毎晩の仕上げ磨きに悩んでいるパパ・ママの参考に、少しでもなればうれしい。