■毎朝「早く早く」を10回は言っていた

 

朝7時半に家を出ないと、保育園の送りから仕事の始業に間に合わない。分かっているのに、年長の長男は着替えの途中でぼーっとし、年少の長女は靴下を片方だけ履いて満足げに遊び始める。気づけば僕は「早くして」「もう出るよ」「置いてくよ」を、多い日で10回近く繰り返していた。

 

急かせば急かすほど、二人の動きはむしろゆっくりになっていく気がした。声を荒げてしまった朝は、送り出したあとにどっと疲れが押し寄せる。

 

■「早く」と急かすほど動きが遅くなる、脳科学的な理由

 

これは僕の気のせいではなかったらしい。急かされると、子どもの脳はまず「急かされている」という感情的な刺激そのものに反応してしまい、目の前の「着替える」という作業に振り向ける注意力がかえって削られるという。特に幼児期は、感情の処理と行動を切り替える力の発達に差があるため、焦りが先に立つと動きが逆に鈍る場面が起きやすいらしい。

 

つまり「早く」の一言は、子どもに行動のスイッチを入れるどころか、余計な負荷をかけて動きを止めてしまっていた、ということになる。

 

■6歳・3歳、それぞれで変えた声かけ3つ

 

同じ「朝の支度」でも、年長の長男と年少の長女では効く声かけが違った。年齢別に変えてみて、実際に効果があったものを3つ紹介する。

 

❶長男(6歳・年長)には「見通し」を渡す

「早くして」ではなく、「長い針が6になったら出発するよ、あと何分あるか一緒に見てみようか」と、時計を一緒に確認する声かけに変えた。先の見通しが持てると、自分でペース配分を考え始めるようになった。

 

❷長女(3歳・年少)には「選ばせる」

「着替えて」ではなく、「今日はうさぎさんの靴下と、くまさんの靴下、どっちにする?」と、行動そのものではなく選択肢を渡すようにした。「選ぶ」という自分の意思が挟まると、着替えという行為への抵抗感がやわらいだ。

 

❸二人共通で「前の晩に9割終わらせておく」

朝の声かけをどれだけ工夫しても、根本的に朝の持ち時間が短いままでは限界がある。着替え一式・水筒・カバンの中身は、寝る前に子どもと一緒に用意しておくようにした。朝やることを「着替えるだけ」まで減らしておくと、それだけで余裕が生まれた。

 

 

 

 

 

 

■それでも間に合わない日はどうするか

 

声かけを変えても、うまくいかない朝はもちろんある。そんな日は、多少着替えが半端でも、朝ごはんを車の中で済ませることになっても、「今日はこれでよし」と割り切るようにしている。毎日10割を目指すと親のほうが先に潰れる。10回のうち3回うまくいけば十分だと、自分に言い聞かせている。

 

■よくある質問

 

Q. 朝の支度は何歳から一人でできるようになりますか?

A. 個人差が大きいが、年少(3歳)頃から「選ぶ」「一部を自分でやる」ができ始め、年長(6歳)頃になると声かけがあれば一連の流れを自分で進められる子が増えてくる印象がある。完全に一人でできることを急がず、できる部分から任せていくのがちょうどいい。

 

Q. 朝の支度ボードは効果がありますか?

A. 我が家ではまだ試していないが、「次に何をするか」を視覚化できる点で、見通しを持たせる声かけと相性が良さそうだと感じている。特に耳からの指示より目からの情報が入りやすい子には、有効な選択肢の一つだと思う。

 

Q. 保育園の朝の受け入れで泣いてしまうときも声かけは同じでいいですか?

A. 「行きたくない」という気持ちへの声かけと、「支度が進まない」への声かけは、僕の中では少し分けて考えている。行き渋りがある日は、支度を急かすことよりも先に、気持ちを受け止める一言を挟むようにしている。