松本にひとり旅した記録を
綴っています。
松本市にある あがたの森公園 を訪問した私。
公園内にある重要文化財
旧制松本高等学校 本館・講堂 を見学した後は
旧制高等学校記念館 にお邪魔しました。
こちらの施設、
以前は300円ちょっとの観覧料が必要だったようですが、
令和7年4月から観覧料が一律無料 に変更になったそうです。
ありがたいですね!
旧制高等学校とは?
重要文化財である 旧制松本高等学校 本館・講堂 がある
あがたの森公園 にある記念館なので、
旧制松本高等学校 に関する専門の資料館なのかな?
と思っていたのですが、そうではないようです。
旧制松本高等学校 に関する資料は当然多かったですが、
それだけではなく、
全国にあった『旧制高等学校』について知ることができる施設でした。
先日の記事でも少し触れましたが・・・
『旧制高等学校』は、明治から昭和にかけて
男子が高い教育を受けるためにつくられたエリート養成校。
昭和22年以降の学校制度は6・3・3・4年制ですが、
それ以前は『旧制』と呼ばれ6・5・3・3年制で、
成績優秀な人は旧制中学4年生から『旧制高等学校』を受験することができ、
10代後半から20代前後が3年間学んだそうです。
『旧制高等学校』では現在の大学1・2年生相当の
教育を受けていたみたい。
そして、卒業生の多くは帝国大学をはじめとする官立大学に進学し、
後に各界で日本を支えるリーダーとなりました。
『バンカラ』って何?
今回この施設を訪問するまでは
『旧制高等学校』に関する知識はほぼ無いに等しかった私。
なんとな~く思い浮かぶのは
当時の学生たちの装いくらいかな。
中に入るとこれぞ『バンカラ』な学生さんの銅像が。
何だかいかにも知ってそうな雰囲気で書いていますが、
私が『バンカラ』という言葉の意味をちゃんと知ったのは
この旅行記を綴るにあたり調べた後です。
『バンカラ』とは明治維新後の欧米化への反骨精神を表す言葉。
明治期には当時の流行の最先端を表す『ハイカラ』
と呼ばれる人たちがいましたが、
『バンカラ』はその対語として、
身なりや言動が粗野で、
流行にとらわれず外見より内面を重視する硬派な価値観や生き方、
装いをなどを表す言葉として使われた造語なんですって。
そうそう、こういう装いを思い浮かべてました。
学帽に学ラン、マント?コート?を羽織って・・・
足元は写ってないけど高下駄履いているイメージはありましたね。
『バンカラ』衣裳を借りて写真撮影もできるみたい。
手っ取り早く、顔はめという選択肢も。
学生たちの日常
旧制松本高等学校 には3棟の学生寮があったそうで、
その中の1つである『思誠寮』の部屋が復元されているコーナーがありました。
『思誠寮』の委員長室はこんな風だったみたい。
委員長というのは寮長のことでしょうかね。
『思誠寮』は学生が運営する自治寮だったそうなので、
寮長も学生ですね。
見るに委員長室は1人部屋だったようですが、
12畳の部屋に4人が標準だったそうです。
旧制松本高等学校 は全寮制ではなく、入寮は新入生の自由意志。
定員が多くなかったので、
寮で1年過ごし、2年生以降は下宿に移る学生が大部分だったんだとか。
壁一面の落書きは、
当時の部屋の落書きに比べれば少ないくらいで、
実際はもっとびっしり書き込まれていたみたいです。
寮にはこんな規則が。
意外だったのが
女性を絶対に寮に入れてはいけないと言いつつ、
恋人や許婚ならやむを得ない場合、許可が下りればオッケーということ。
やむを得ない場合というのがどういう状況かはわからないですが、
母や姉、妹など家族ならまだしも
恋人も条件付きオッケーというのは思ったより寛大な規則だなぁ。
学生が運営している寮だったから?
こんな風に皆で食事してたんですね。
売店が無人販売だったようです。
↑これは 旧制一高 で使われていた食器と手拭い。
旧制一高 は現在の東京大学教養学部および、
千葉大学医学部、同薬学部の前身となった学校とのこと。
課外活動も盛んだった旧制高等学校
旧制高等学校 でも課外活動として部活動が盛んだったようです。
例えば・・・
文化部には文芸部・弁論部・音楽部・美術部・哲学部・
演劇部・新聞部などがあったらしいですが、
それらの部活に入らなくても
旧制高等学校 の学生たちの間では文学・音楽・映画・美術を愛し
親しむのが当たり前の風潮があったそうです。
旧制高等学校 は各界に偉人を輩出していますが、
その中には文学者も多いですね。
↑は 旧制松本高等学校 在学中の 北杜夫 さん。
『どくとるマンボウ』シリーズをはじめ、
数々の作品を生み出し活躍されました。
こちらは 旧制松本高等学校 を卒業したあとの
北杜夫 さんの書斎を再現したコーナー。
北杜夫 さんが
世界を旅して収集したコレクションの展示なんかもありましたよ。
無料ということで、正直そこまで期待はしていなかったのですが、
想像以上にとても見ごたえがある施設だったので、
興味がある方はぜひ覗いてみて下さい。