かなり以前のエントリーですが、バルセロナ伯(ラモン・バランゲー『老伯』)Vol.3の中で、セルダーニャ伯の嫡男が、セルダーニャ伯の妻が南仏のカルカッソンヌ伯とベジエ伯の継承権を持っている、という話をしました。そして、カルカッソンヌ伯が継承者を残さずに死亡したときには、その姉であるセルダーニャ伯の妻アデライダを通じてセルダーニャ伯の長男がカルカッソンヌ伯を継承すると。

 

しかしこれは自動的に起こるわけでは無く、王権法(crown authority)のレベルによっては自領が相続によって他国に移ってしまうという事態にもなります。このあたりのことは日本語のCK3のWikiの中の『法律』というところに説明がありますが、今回、これを具体的に見ていきたいと思います。そして、ゲーム開始当初にこの一見あまり意味の無さそうに見える王権法のレベルを上げることで領地を獲得するのに婚姻を利用することができるようになることを実際のゲームで見ていきたいと思います。

 

王権法について確認してみましょう。まずはレベル2です。

 

 

いくつかの分割相続法を選択できること、臣下の称号を剥奪すること、等が可能になるとあります。これらは今回のエントリーのテーマとは異なるので割愛。

 

そしてこれがレベル3となると以下のようになります。

 

 

君主に出来ることが多くなりますが、その中でも着目してほしいのが、上の白線で囲われた部分です。『臣下の称号は領地外の人物に継承されえない』という条項が加わっているのが分かるでしょうか。

 

これが重要です。王権法がレベル3であるのか無いのかで、臣下が相続によって獲得した領土がどの君主の領土に紐づけられるのかが大きく変わってしまいます。

 

それでは実際にどうなるのかを1072年のセルダーニャ伯の例で実験してみましょう。その頃のセーブデータを用いてコンソールコマンドを使ってみます。

 

 

これがセルダーニャ伯です。妻はコマンジュ家の一員です。そしてこのアデライダの弟がカルカッソンヌ伯とベジエ伯を保有してるわけです。

 

 

 

ここでコンソールコマンドを使用して、コマンジュ家が保有するタイトルがどのように継承されていくのかを実験してみます。なお、最初に王権法のレベルが2の時について実験を行い、その後にレベル3の時を見ていこうと思います。

 

まず、このアデライダの弟が死亡し、姉がその称号を継承します。ここまでは王権法に依らずに同じように継承されます。

 

 

称号がアデライダのもとに移っているのが分かります。この先が問題になります。この次の段階で、セルダーニャ伯よりもアデライダが先に亡くなったとします。

 

 

このようにアデライダの称号はセルダーニャ伯の息子2人に継承されます。この息子2人はフランス王の臣下として称号を保有しています。ここでセルダーニャ伯が死亡するとどうなるでしょうか?

 

 

分かるでしょうか?セルダーニャ伯の称号はフランス王の臣下たるカルカッソンヌ伯が継承するため、セルダーニャ伯はフランス王国の領地となります。

 

ちなみに、仮にセルダーニャ伯が先に死亡し、息子がセルダーニャ伯を継承してからその妻アデライダが死亡してカルカッソンヌ伯とベジエ伯を継承する場合、分割相続のためベジエ伯を次男がフランス王国の臣下として継承しますが、カルカッソンヌ伯はバルセロナ伯の臣下、セルダーニャ伯が継承するためカルカッソンヌ伯領はバルセロナ伯国に組み込まれます。次に同じことを王権法のレベルを3として見てみます。

 

 

このようにコンソールコマンドで王権法をレベル3にしました。ちなみに、法律の変更については有力諸侯の賛成を勝ち取れば(難しくありません)、10年のクールダウンの期間と革新性の開放が必要であるにせよ、それほど時間をかけずに達成することが出来ます。ここでコンソールコマンドを使用したのは何が起こるのかの対比を分かりやすく見せるためで、ゲームを普通に進めていっても王権法のレベルを上げていくことはそれほど難しくありません。

 

さて、この場合にアデライダに称号が継承され、その後アデライダが死亡して、その称号が子供たちの間で相続されたところまでは同じです。その先を見てみましょう。

 

 

ここまでは同じです。ここでセルダーニャ伯が亡くなったとします。

 

 

分かるでしょうか?セルダーニャ伯がフランス領になっていません。そして先ほどと異なりセルダーニャ伯が息子ではなく兄弟(Siblings)に継承されています。

 

 

このように、セルダーニャ伯の息子たちがフランス王の封臣であるため、バルセロナ伯国の王権法(レベル3)から伯国内の称号の相続権を喪失して、それがセルダーニャ伯の弟に相続されているわけです。

 

王権法をレベル3にまでできれば相続によって領土が他国に移る可能性が無くなる(厳密には僅かにその可能性はありますが)ことがこれで分かります。

 

従って、ゲーム開始当初からなるべくはやく王権法をレベル3にまで上げるべく努力することにはそれなりの意味があります。

 

ちなみにゲーム内ではカルカッソンヌ伯の身内には不幸が続き、1087年頃に王権法を改正した時(レベル3となりました)にはセルダーニャ伯とカルカッソンヌ伯、ベジエ伯の相続権はセルダーニャ伯の長男と次男になっていました。

 

さらに、そのセルダーニャ伯に対してバルセロナ伯の密偵長が弱みを見つけ、それによりセルダーニャ家の名の元となるセルダーニャの称号を剥奪し、それをバルセロナ伯の直轄とすることに成功しています。

 

このゲームでは短時間で領土を拡大するというよりも、時間を経過させていくのが醍醐味だと思います。そして、その時間の経過を利用しつつ、遠い将来を予測し、いくつもの戦略を並行して進めていき少ない労力で領地を拡大して自国を大国にしていくのが面白い点だと思います。

 

そのため特に初めてプレーをされるときにはコンソールコマンドを多用して色々な局面を仮想的に実現させ、最適な選択を行うというような遊び方にも意義があるように思います。そうして色々なファクターがどう作用するのかを理解したうえで、何度目かのプレーでコンソールコマンド無しにプレーするのもありだと思います。