前回までのあらすじ

 

セルダーニャ伯家の当主の妻が連なるコマンジュ家。その当主はカルカッソンヌ伯領とベジエ伯領を保有するフランスの有力諸侯でした。その当主はある日の巡行中に野盗の集団に遭遇し、世継ぎを残さずにこの世から旅立ってしまう・・・

 

本編

 

カルカッソンヌ伯とベジエ伯を継承したセルダーニャ伯ギレンの妻、アデライダ女伯。さて、ここからこの称号がその息子の代にどのように引き継がれるのかを説明しましょう。ここで状況を整理します。ギレンの保有するタイトルはセルダーニャ伯。これはバルセロナ公国に紐づけられたタイトルです。一方、アデライダの保有するタイトルはカルカッソンヌ伯とベジエ伯。これはラングドッグ公領に紐づけられ、それはフランス王国に連なります。

 

そしてこのゲーム、ある人物が保有するタイトルに『主たるタイトル(Primary Title)』という概念があります。これはどういうことかというと以下の通り。

 

例えば、彼らの息子が、先にセルダーニャ伯を継承するとします。すると自動的に主たるタイトルはセルダーニャ伯になります。この時点でアデライダは健在です。そして、次にアデライダからふたつの伯領を継承するとします。すると、バルセロナ公国の臣下たるセルダーニャ伯がカルカッソンヌ伯とベジエ伯を継承することになり、この2伯領はバルセロナ公国に紐づけられます。

 

一方、仮に母から先にカルカッソンヌ伯とベジエ伯を継承した場合、主たるタイトルはカルカッソンヌ伯、もしくはベジエ伯になります。するとこの息子はフランス王の臣下となります(これら伯領の上位のタイトルはラングドック公ですが、このタイトルは現時点で存在しません。従ってカルカッソンヌ伯兼ベジエ伯はフランス王の直接の封臣となります)。ここで父からセルダーニャ伯を継承します。すると、フランス王の臣下たるカルカッソンヌ伯がセルダーニャ伯を継承することになります。僅かな違いと思うかもしれませんが、このふたつはその結果が大きく異なります。継承する順番がこちらの狙い通りでない場合、フランス王国の領土がバルセロナ公国に食い込んでくることになります。そこも注意が必要です。

 

ちなみに、このゲームでは暗殺は自らの臣下にも使うことが出来ます。

 

・・・え?

 

ギレン伯まで暗殺するのかって?

 

いやいや、それは穿った見方です。私はセルダーニャ家の繁栄を願っています、と言っておくことにしましょう。

 

ちなみに、このセルダーニャ伯やカルカッソンヌ伯、ベジエ伯の相続のルールは分割相続制というシステムです。これは兄弟がいた時にはその兄弟の間でタイトルを分割するということです。ですから、仮に彼らの間に2人目の男子が生まれた場合には、称号がひとりの継承者の元に集約されません。つまりセルダーニャ伯と南仏の2伯領は分割されて継承されます。こうなると南仏の2伯領は目論見通りバルセロナ公国領とはならない可能性が出てきます。そこで、

 

  1. 南仏の2伯領がバルセロナ公国に取り込まれるには、セルダーニャ伯の息子が先にセルダーニャ伯を継承し、その次に南仏の2伯領を継承する必要がある
  2. 男子の継承者はひとりであることが望ましい

 

ということになります。理想的には。また、若干チート気味ですが、セルダーニャ伯を早くに抹殺したいという時に、彼を騎士に任命して、激戦地に敢えて送り名誉を高める機会を可能な限り増やすという方法もあります。

 

これは自分の息子が多い時に、分割相続で領地が分散するのを避けたいときにも使えます。また、自プレイヤーの称号の継承者を1人に絞るには、幾ばくかの威信値(Prestige)と信仰値(Piety)を消費してその人物の継承権を剥奪する(disinherit)という方法もあります。ただしこの方法は自プレーヤーがその一門の長(Dinasty Head)であることが条件となります。幸いにしてバルセロナ家はほぼ確実にバルセロナ伯が一門の長なので、この選択肢は威信値と信仰値があれば実行できます。

 

さて、前回からここまで南仏の領地を戦争を起こさずにバルセロナ公国に編入する計画を実行し、説明してきましたが(実際にそれがバルセロナ公国に属するのは、セルダーニャ伯の息子が成人し、その両親が天寿を全うした後になるので20~30年後になるでしょう)、その間にフランス王国との同盟関係を利用してイベリア半島での勢力拡大も図っていました。

 

 

レリダ首長国とは5年間の休戦協定を結んでいましたが、それも数ヶ月で期限が切れるところまできました。この間にレリダ伯領についても宮廷司祭に請求権を捏造させており、休戦協定が期限切れになると同時にレリダ首長国を迅速に制圧することを考えていました。戦は勢いが重要です。

 

 

しかしムザファ族長もさる者、隣国と同盟を結んでいました。

 

 

同盟国の兵力は2000と少し。双方が協力すれば3000に届く兵力です。対してこちらは2300。そして相手方にはムザファ族長、そしてこの同盟国の首長も勇将揃い。勝算は少ないかもしれません。しかしバルセロナ公国もこの間、戦力を整えるべく行動していました。先ずは攻城兵器の導入です。前回の戦争では野戦で勝利を収めた後の攻城戦の段階で、落城に10ヶ月近くかかりました。結局は攻撃目標を落城させられたとは言え、その間に背後から再編成を終えたレリダ首長国の軍に攻撃を受ける事態になりました。城の攻略を早くする必要があったのです。

 

そして、休戦期間が終わる頃を見計らって傭兵を雇えるだけの資金を集めており、

 

 

かなりギリギリではありますが、傭兵を雇用します。正直、もう少し資金を貯めてからもっと戦力の充実した傭兵を雇おうかとも思いましたが、攻城兵器とわが軍に所属する騎士たちの勇猛ぶりに勇気づけられ、開戦を決意しました(後述しますが、実は戦術的に勝利の可能性を考えられもしました)。

 

 

フランス王の増援を求めても良かったのですが、それをすると威信値を大きく消費するため、ここは単独で戦います。この後傭兵を雇用し、バルセロナ軍の指揮をアキテーヌ公の救援時と同様、三男に執らせます。

 

このゲームでは野戦で勝利を重ねても戦勝点は100に達しません。最大50までとなります。戦争相手のリーダーを捕縛したり、攻撃目標の土地を占領することで大きく戦勝点が上昇します。レリダ首長国の場合、保持する領土は1伯領のみ。こういう時には、その領地を占領できればそれだけで戦勝点が100となるので、速攻で攻め込んで、レリダ首長国の軍が同盟国の軍と合流する前に各個撃破し、そうして相手側が安全地帯まで退却して再編成を行っている間に城を攻略する。

 

実はこのような作戦を計画していたのです。そこで増援を頼める同盟国があるにもかかわらず単独で戦争を行うこととしました。

 

そして戦争はこの狙い通りに進行していきます。

 

 

まずはレリダ伯領でムザファ族長と交戦。この時点で圧倒的な戦力差で、この戦闘で相手方を壊滅させられそうだと思った直前に、付近の丘陵上に土煙が・・・

 

 

しかしこちらの目論見通り、相手は連携が上手くいっておらず、レリダ首長国の軍が壊滅して、ほぼ指揮官と騎士だけが同盟国の軍に合流して戦いを続けます。

 

 

しかし戦いは勢いに優る方が有利です。

 

 

これで戦争の大勢は決しました。この後、レリダ伯領の拠点の攻城戦に移りましたが、最初の野戦での勝利が全てでした。結局、この後レリダの城を無事攻略し、戦争は終結。ムザファ族長の家族も捕縛しました。

 

ここで前線の将兵をねぎらうために私、ラモン・バランゲーがレリダに到着。そこでムザファ族長とも顔を合わせました。

 

ムザファ族長、既に戦争に敗れて領地を失い称号も剥奪されているので族長では無いかもしれません。その上妻子も捕縛されています。全てを失ったムザファは観念したような表情で私を迎えました。

 

私は近臣でアラビア語も使える者を1人だけ伴ってムザファの座る粗末な椅子の向かいに腰を下ろしました。

 

「勝負は時の運。こうして敗れたのもアラーの思し召しと思う。ラモン・バランゲー殿、なすべきことをなされよ。」

 

私はここで少し考えました。

 

「確かの勝負は時の運。そして武器を手にした者と対峙する時には武装した心で挑まなければならないが、武器を手にしていない者とは、こちらも武装を解いた心で接したい。先程、ムザファ殿の細君と息子については縄を解き、私の腹心にその安全の確保を厳命した。」

 

ムザファは既に領地を失いましたが、前回私が軍を指揮した時にも劣勢の自軍を鼓舞して最後まで全線で戦った勇将で、その兵士たちばかりでなく、領民からも慕われていました。個人的にムザファという人物に関心が無かったとしても次の言葉は自然と発せられたことでしょう。まして、私は異教徒であってもムザファのことを戦士として畏敬の念を抱いて見ていました。

 

「どうであろうか、ムザファ殿の細君はモサラベ(イスラム教徒の支配下に改宗せずに居住していたキリスト教徒)とも聞く。この地にはイスラム教徒もモサラベも多い。ムザファ殿も自らの信仰を捨てずとも良いので、かつてのそなたの領地を統治する私に力を貸してはくれないか?」

 

しばらく時間を、と述べたムザファ殿に、数日前まで自らの居城だった場所の一室を提供し、三男に領内でのイスラム教徒とキリスト教徒との係争を取り締まることと、ムザファ殿とその家族の安全の確保に特に注意するようにと改めて指示を出し、私はバルセロナに戻ります。

 

数日後、ムザファ殿からレリダの民の、特にイスラム教徒の信仰を守ることに資するのであるならば、という但し書きの書かれた文が届きました。

 

こうしてレリダ首長国の全領土はバルセロナ公国に併合され、その首長であったムザファ殿はわが臣下としてレリダを中心に統治に協力することになりました。

 

そしてこの後、思わぬ機会を見つけ、先ほど書いたようにフランス王国と共同し、いよいよバレアレス諸島の攻略を行うことになっていきます。