さて、前回はゲーム開始時に注意すべきことを書きました。

 

今回は戦略に従ってゲームを進めていこうと思います。先ずは周辺国のチェックです。とはいえ、目標はカタルーニャ文化圏全域の掌握なので、実際にはふたつしかありません。

 

 

この、レリダ首長国(Sheikhdom of Laridah)の海沿いの領地を狙います。この国は分裂した後ウマイヤ朝のタイファ諸国のひとつです。最初の攻略目標になりうる、海を隔てた南海上にあるバレアレス諸島は、大きな首長国で婚姻による同盟国があります。戦争になった場合には援軍がやってくる可能性もあるため今は攻略を控えます。

 

さて、このゲームでは標的を定めてすぐに開戦、というわけにはいきません。形式を重んじる(?)中世らしくその領地の称号に対する請求権(de jure claim)を持つ必要があります。実際には請求権が無くとも異教徒の領地に対しては聖戦(Holy War)を仕掛けたり、その他さまざまな開戦理由(casus belli)があります。

 

ただし聖戦を行うとそれぞれの宗教に属する勢力が参戦してくるため戦争の規模を局限することが困難になります。そのため異教徒の領地を攻略する場合でも領地に対する請求権を捏造(fabricate claim)し、攻撃対象の国に同盟国が少なく、実際の戦力差で優っていることが勝利の基本となります。

 

さて、それではレリダ首長国を見てみます。わが方の優秀な密偵はレリダ首長国の兵士の数、そして収める領主の能力まで詳らかにしてくれました。

 

 

これを見ると次のことが分かります。まずレリダ首長国の領主は、シャイフ・アル・ムザファ・イブン・アル・ムスタイン(これはイスラム教徒の命名法で、詳しくは省略しますが『ibn』が『何某の息子』を意味し、『al-』は英語の『the』に相当する定冠詞となります。つまりこの人物はレリダ首長国の族長(sheikh)、ムスタインの息子ムザファ、となります)。

 

兵力は1071人。一桁目まで情報を送ってくれるとは優秀な密偵がわが方にはいるようです。ありがたい。そして武勇(martial)が15で、これは優秀な部類に属します。そして大きな目のアイコンの隣の剣ですが、これは聖戦士(Holy Warrior)で異教徒との戦闘で戦闘力にアドバンテージが付きます(異教徒との戦いで常に神の加護を得られる人物、と考えましょう)。

 

何より重要なのが外交(Diplomacy)の部分です。ここに他の勢力のアイコンがありません。現状でレリダ首長国は同盟国を持っていないということです。つまり仮にこの状態でレリダ首長国と戦争になった場合、相手の出しうる戦力はここに表記されている戦力までということになり、こちらの戦力の半分が相手の戦力になります。

 

勝てそうだ。

 

ということが、涼しさを感じる10月にバルセロナ市内で造営が進みつつある伯爵家の2階で評議会が協議した結果、出た結論になりました(ちなみにこの大王宮はローマ時代の市壁を利用して実際に11世紀から12世紀にかけて造営され、現在もそこに建っています。コムテス(カタルーニャ語で伯爵)通りという通りに面して、このあたりには歴史的建造物が多く残っているようです。この辺り、神吉敬三著の文藝春秋から出ている世界の都市の物語、『バルセローナ』によります)。

 

さて、次になすべきは請求権の捏造です。並行して、未婚の息子と娘がいるので婚姻関係を築き、同盟関係を結ぶ相手を探そうと思います。戦力ではレリダ首長国に優っているので、それはあくまで保険的な意味合いではありますが。

 

幸いなことにフランス王国の王がわが娘と年齢的にも似合いの相手で、婚姻を提案してみると簡単に承諾を得られ、フランス王国と同盟関係を築くことが出来ました。また、息子の婚約者に同じフランスの南方を支配する大諸侯、アキテーヌ公の一人娘アグネス(agnes)を迎え入れる約束になり、こちらとも同盟関係を築けました。ちなみにこのように、CK3ではある国の君主と同盟を結び、さらにその臣下と同盟を結ぶことも可能です。臣下の者はその兵力の全てを君主に提供するわけでは無くそのうちの一定割合を封建契約に基づき提供するため、自分で采配することの出来る兵力が手元にあることになるからです。

 

さらにここから宮廷司祭(court chaplain)、言葉的には牧師ですが、それはプロテスタントでの用法なのでここでは司祭とします、が請求権の捏造を行います。

 

 

なんと12ヶ月もかかるのか・・・

 

さっきの評議会では一番戦争に乗り気で、請求権などいつでも捏造できると言っていたではないか、ヒューよ・・・

 

その間に周辺国の同盟関係に変化が起こらないことを願いつつ請求権の捏造を待ちます。頼むぞ、ヒューよ。レリダ首長国の人々はいざ知らず、せめてわが領内の人間が納得できる程度に説得力のあるものを。

 

 

こうして待つこと1年(と5日)、戦争のことを忘れかけていたころに宮廷司祭から請求権を捏造したとの報告が。待っていたぞ、ヒュー。

 

そして開戦前に再度レリダ首長国の同盟関係をチェック。新たに同盟を締結した気配はないとの密偵からの報告を受け、開戦を行います。

 

開戦と同時に全兵力を動員します。相手も同じように兵力を動員し、

 

 

戦闘が始まります。最初に交戦した場所はレリダ首長国内ではなくアラゴン王国とバルセロナ公国の国境線付近の山岳地帯でした。レリダ首長国の軍を指揮するのは元帥(marshal)ではなくムザファ族長その人でありました(武勇が15なので当然かも)。一方バルセロナ軍を指揮するのもこの私、バルセロナ伯ラモン・バランゲーになります。最初の交戦は2倍の戦力差で余裕かと思ったら・・・

 

 

 

聖戦士の能力があるからか中々戦線が崩れません。ムザファ自身、片足を失いながらも配下の兵を鼓舞する勇猛ぶり。こちらの部隊指揮官もイスラム教徒ながら天晴な戦いよ、と思わず感嘆する始末。確かに優れた武将です。しかしこの度の戦では分が悪い。何しろ兵力差が2倍もある。時間が経つごとに形勢はバルセロナ側に傾き、

 

 

戦死者の数はさほど変わらない大激戦でしたが、相手の騎士(Faris)5名のうち1名を捕虜にし、1名を倒しました。こちらは軽微な刀傷を受けた騎士(Knight)が1名のみ。そしてこの後、バルセロナ軍は南下し目的の領地にある拠点の城を10ヶ月の包囲の後攻略。こうしてレリダ首長国とバルセロナ公国の戦争はバルセロナ公国の勝利に終わりました。

 

バルセロナ市に凱旋するわれらの兵士と将軍を市民が市壁の近くにあるローマ時代から残る門まで出迎えてくれました。