エモい、キモい、ダサい、えぐい、チャラい、グロい、しょぼい、などなど、
なぜ「新しい日本語」は形容詞になっちゃうのか?
それは、
「日本語には形容詞が圧倒的に不足しているから」。
まあ、それで終わってしまうわけだけど、
これは広がりがあるテーマなんで少し書いてみようかと。
まず英語を和訳するときに困る。
英語は形容詞が多いから。
「sorry」なら「すまない」でぎりぎり形容詞っぽく訳せるけど、
「innocent」「guilty」くらいで、もうアウト。
日本語の形容詞が対応しない。
日本語は名詞の文化だから「名詞+の」を使って、
「無実の・無垢の」とか「有罪の」とか、
ちょっとずれる覚悟で訳すしかない。
色だって「blue,red,white,black,purple,green,grey」英語は全部形容詞になる。
ところが日本語だと、
「青い、赤い、白い、黒い」までは日本語でも形容詞だけど、
「紫い」とは言わないし「緑い」もだめ。「灰い」だとイクラちゃんかと。
じゃあ、英語の形容詞は日本語に入ってこないのか?
いや、入ってくるんですね。
昔は「英語は名詞にならないと入ってこない」と言われましたが、
例えば「サウンド」「レインボー」「ラヴ」とかね、
今は違う。
英語の動詞なんか現在分詞や過去分詞になってまで入ってきているし、
(ペンディングとかサスペンディッドとか)
形容詞もいっぱい入ってきている。
ところが衝撃的なことに、
英語の形容詞は日本語になるときに「形容動詞」になっちゃうんですよ。
形容動詞ってあれですね、
「だろ・だっ・で・に・だ・な・なら」ってやつ。
その連体形の「な」がつきます。
「キュートな」
「クールな」
「ワイルドな」
「ハートフルな」
「グレートな」
「エモーショナルな」
「イリーガルな」
うーむ。
「日本語はまさに融通無碍である」とほめたくもなるし、
「日本人が英語できないのも仕方ないね」とあきらめたくもなる。
英語と日本語はそもそもの発想が違うのだ。
なぜ日本語には形容詞が少ないのか。
おそらく日本語の論理構成が「AはBである」という、
「名詞=名詞」の形が基本だから。
続きます。