元々ヘッドライトが暗くて有名な車種です
実は、2年と少し前から開発を始めていたのですが、当時は様々な要素が不足していて実現出来ず、ようやく今になって結果に結びついて来ました。
某車種のノーマルのライト(助手席側のみ)の路面照射画像です。照射範囲が狭くて光量が低い
一見ビームパターンは綺麗ですが、3600カンデラですと余裕で車検に落ちます
30年前の車なのでヘッドライトの経年劣化も原因のひとつですが、製品化した際に装着されるヘッドライトも経年劣化している筈なので、可能な限り現実に即した環境で開発する様にしました
この車種は年式的にはハイビームで検査します
ハイビームで検査に合格すれば、ロービームの光度は問われません
しかし、実際にはロービームで走行する事の方が多いので、ロービームこそ明るい方が良いと思います
この状態からどのくらい明るく出来るか?という事で開発がスタートしました
ノーマル同様にスポット配光ですが、だいぶ明るくなります
この車種の多くはHIDが装着されていると考えられるので、比較検討用にHIDを装着しました
ハロゲンバルブの2.47倍
ハロゲンバルブが1000ルーメン、HIDが3000ルーメンですので、妥当な線だと思います
装着したLEDバルブは45W 4500ルーメン
最高光度点がだいぶ手前側に寄っている為、カットライン付近の明るさが不足しています
手前側の明るい部分に眼の光受容感度が合ってしまうと、奥側が見えにくくなります
トンネルに入る時の暗順応と出る時の明順応と同じで、人間の眼は明暗両方同時に順応する事が出来ない事が原因だと考えています
ですので、やはり最高光度点はカットライン付近に有る方が良いという事になります
仮説→サンプルの設計→サンプルを作製→テスト→検証→仮説
という魔のサイクルが始まります
上のヘッドライトテスターの画像を見ると、色々なビームパターンがあります。全て同じヘッドライトを使用していますが、装着するLEDバルブの仕様が違います
ヘッドライトテスターのカンデラ値とビームパターンを見て、良さそうなサンプルは路面照射テストをします
照射ムラは残念ながらヘッドライトテスターでは分からないので、路面を照射して目視で判断します
雨が降ると路面照射テストが出来ないので、雨が降らない日の夜にテストをして評価します
カンデラ値で比較すると、ハロゲンの3.9倍、HIDの1.6倍ですね
ルーメンで比較すると
LED 4500ルーメン÷ハロゲン1000ルーメン=4.5倍
LED 4500ルーメン÷HID 3000ルーメン=1.5倍
ですので、妥当な線かと思います
殆ど同じなのですが、LEDチップの位置が0.25mm違います
下の路面照射画像は、ヘッドライトテスターで14300カンデラの方なのですが、上の画像よりも奥側を照らす事が出来ています
これは、ノーマル車高でヘッドライト高さ55cmの車両をヘッドライトテスターで光軸を標準位置に調整した場合、カットラインの位置はヘッドライトから55m前方になります。しかし、目視で55mの位置にカットラインが見える事とは違います。ヘッドライトテスターが認識するカットラインと目視で認識するカットラインの違いを補正する事を狙った仕様になります
また、照射範囲をハロゲンやHIDよりも手前側まで広げました
この車種は、ドライバー目線でヘッドライトから約5.5m以内はボンネットによって死角になるので、ヘッドライトから5m〜55m(標準位置の場合)の範囲を照射範囲としました
光受容感度の観点からも、可能な限りフラットな配光を狙っています
スポット配光の場合、車のピッチング等の揺れに連動して、明るく照らされている部分の動きが目立ちますので、可能な限りフラットな配光の方が疲れにくくて良い配光だと思います
今回ご紹介したLEDは車種別専用LEDキットのラインナップに加える予定です
販売開始の際には改めてご案内をさせて頂きます。それまでもう少々お待ちくださいませ😊