コード進行を伴奏として楽曲の中で使う際には、通常はリズムを付けて使います。
伴奏の要素には大きく分けると2つあり、1つがコード進行で、もう1つがそのコード進行に付けるリズムです。
コード進行に付けるリズムによって、その伴奏の抑揚感やイメージが変化してくるので、使用するコード進行と合わせて、コード進行に付けるリズムは 伴奏において、重要な役割を果たします。

コード進行にリズムを付ける場合には、ロングトーンで伸ばすようなリズムにするか、小刻みにリズムを刻み、軽快なリズムにするかなど色々な考え方があると思います。
また、リズムを付けるのに合わせて、転回形や分数コード(オンコード)などで、コード進行の中のコードの音域を調節すると、セクション間を繋ぐためのブレークなどを印象付けるような働きをさせる事が出来ます。

セクション間のブレークや繋ぎ目

また、コード進行は楽曲の中で1つのパターンのみを使用するわけではなく、いくつものコード進行を繋げて使用するのが一般的です。
ただし、別々のコード進行をそのまま並べたとしても、コード進行どうしの繋ぎ目が滑らかに繋がる訳ではないので、コード進行間の繋ぎ目を滑らかに繋ぐ工夫が必要になります。

コード進行は、基本的に、「Aメロ」や「Bメロ」など、セクションが変わるのに合わせて切り替えるので、コード進行の繋ぎ目を滑らかにする工夫は、楽曲のセクションを繋ぐ工夫と一緒に考えると楽になります。

例えば、2つのコード進行を滑らかに繋ぐことが中々難しかったとしても、セクションを繋ぐ方法ある「ブレーク」や、ドラムのフィルインなども考慮して考えると、前のコード進行の終わりを速めに切り上げて、一小節間くらいのブレークを挟み、その一小節間のブレークでドラムのフィルインを入れる、といった事をすれば、後のコード進行が入りやすくなり、前のコード進行とコードの繋がりとしておかしくても特に違和感が生じない様になったりします。

また、前のコード進行の終わりを早めに切り上げる際にも、最後のコード進行を転回形にしてみたり、分数コード(オンコード)にしてみたりする事で、それまでのコード進行の流れを変化させて、セクションを展開する印象が強くなります。
こんな感じで、コード進行同士を繋げる際には、色々な工夫をするだけで、繋がりづらいコード進行も違和感なくつかう事が出来ます。

コードと言うのは、音楽で使われるときは、複数のコードを繋げた状態のコード進行として使われます。
コード進行は、楽器で演奏する事によって伴奏としての役割となります。

コード進行のパターンには色々なものがあり、現在では、ほぼ全てのコードの組み合わせ方が考案されていると思います。
ただ、コード進行の組み合わせによっては、作ろうしている伴奏で使いづらい状態のものがあります。

例えば、伴奏とメロディーで鳴らした場合に、伴奏に使っているコード進行の音が低すぎる、または高すぎる音域担っている事で、メロディーの音が濁ってしまったり、メロディーと伴奏の音がハーモニーとして感じられづらかったりします。

そうした場合に、コード進行で使っているコードのいくつかを、転回形にして使ったりします。
または、コードを1オクターブ上げた上で、最低音にコードの構成音とは別の音を付け足した状態の「分数コード」(オンコード)を使ったりします。

経過音としての分数コード(オンコード)

また、「分数コード」(オンコード)は、コード進行の中で、前後のコードの最低音の音を、メロディーのように繋げる目的で使われたりもします。

例えば、「C・F・G・C」というコード進行で、始めの「Cメジャーコード」の最低音は「C」、次の「Fメジャーコード」の最低音は「F」、次のコードである「Gメジャーコード」の最低音は「G」ですが、この3つのコードの最低音を一音ずつ徐々に上がっていくようにするために、コード進行の中の「Fメジャーコード」の最低音に「D」を付け足して「レ・ファ・ラ・ド」と言うコードにして、「Gメジャーコード」の最低音に「E」を付け足して「ミ・ソ・シ・レ」というコードにすると、始めの「Cメジャーコード」の最低音である「C」、次の「Fメジャー on D」コードの最低音である「D」、次のコードの「Gメジャー on E」コードの最低音である「E」と言うように、最低音が「C」⇒「D」⇒「E」というように、徐々に音が上がってメロディーのように繋がります。

このように、転回形と異なり、分数コード(オンコード)は、元のコードの構成音ではない音を付け足したコードですので、コードの最低音を、前後のコードでメロディーになるように繋げたりする事が出来ます。

通常、コードというのは、根音の音と、根音の音に三度音程で音を積み重ねて作られますが、その基本形の状態から、根音の音を1オクターブ上に移動させたりする構成で使用したりする事があります。
例えば、「Cメジャーコード」であれば、通常は、「ド・ミ・ソ」というように構成されますが、この構成音の根音である「ド」を1オクターブ上に移動させて「ミ・ソ・ド」というようにコードを構成する状態にする、という事です。

このように、根音の音を1オクターブ上に移動させた状態のコードの事を「転回形」(てんかいけい)と呼びます。
また、「転回形」には、段階があり、今紹介したように、根音の音を1オクターブ上に移動させた状態を「第一転回形」(だいいちてんかいけい)と言います。

そして、さらに、最低音になった第三音の音も1オクターブ上に移動した状態のコードの形を「第二転回形」(だいにてんかいけい)と言います。
「Cメジャーコード」の場合、「ミ・ソ・ド」が「第一転回形」、そして、「ミ」の音も1オクターブ上に移動させた「ソ・ド・ミ」という構成の状態を「第二転回形」と言います。

分数コード(オンコード)

転回形のコードと同じ意味合いのコードとして、「分数コード」と言うものがあります。
分数コードというのは、英語では「オンコード」(On Chord)と呼ばれていて、「Cメジャーコード」などのコードの最低音に、コードの構成音の音ではない音を付け足した状態のコードの事です。

転回形では、コードの構成音を移動させて、構成音の順番を入れ替えた形になりましたが、分数コード、またはオンコードでは、コードの構成音ではない、別の音を最低音(最も低い音)に付け足します。

例えば、「Cメジャーコード」であれば、通常のコードの形では、「ド・ミ・ソ」というように、根音の音が最低音の状態ですが、このコードの最低音に「ファ」の音を付け足して、「ファ・ド・ミ・ソ」というようにしたコードの事を「分数コード」と言います。

分数コード(オンコード)と転回形の違い

分数コード(オンコード)と転回形のコードの明確な違いは、本来のコードである「長三和音」、または「短三和音」の構成音の音を使って最低音が変化しているかどうか、と言う点です。

ただ、最低音が元の「長三和音」などの構成音を使っている場合にも、分数コード(オンコード)と呼んだりもします。
つまり、「分数コード」(オンコード)というのは、必要条件であり、転回形というのは、十分条件、という事が出来ます。

ここでの解説だけだと少し分かりづらいかもしれませんので、下記に分数コードと転回形についてのコード理論がまとめられた記事についてのリンクを記載しておきますので、そちらで意味を確認してください。
転回形と分数コード/オンコード