録画視聴。

 現役世代や子どもたちにはわからないが老夫婦には感受できる、何の変哲もない日常の断片のかけがえのなさを丹念に描いた作品。

 初めは自分が生まれる前に制作された古い映画を純粋に“作品”として観るのが困難で、子どもの頃の記憶をたどるよすがにしたり、社会学的・文化人類学的?な視線を注いだりしていた。しかし、久しぶりに会う息子や娘との気持ちのつながりが薄らいでいるのを知る老夫婦の静かな哀しみを、緻密な構成で定着させる作品世界に次第に引き込まれていった。

 こういう「ドラマ」なきドラマの存在は本当に貴重だと思う。