トランプの乱発大統領令は後醍醐天皇の乱発宣旨を連想する | きままなひととき

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100年続いた鎌倉幕府を滅亡に導き、政権を朝廷に取り戻した後醍醐天皇が万事親政を敷くとばかりに、国内の大小さまざまな行政・裁判すべてを自分が決裁し宣旨を出し始めた。武士への恩賞も大小すべて自分が決めて宣旨を出すという天皇親政を行い始めた。だが政治の実務を100年余りしてこなかった朝廷と天皇は、めちゃくちゃな行政・裁判を行って矛盾だらけになってきた。

土地の争いや恩賞で、幕府が出したこの100年間の安堵状は無効だと宣旨を出し、土地の保証がなくなった武士や農民、神社仏閣など、すべてが100年余りも前の証文を出してきて朝廷に訴えた。土地の領有権はまさに生死にかかわる大事な事、全国の訴状が後醍醐天皇に集中した。武士の恩賞の申請も集中した。後醍醐天皇はそれを短時間で処理しようとして、ロクに調べもしないで一方的な判決を出した。それを不服としてまた訴訟が出てきて、訴状はねずみ算的に増えて政治は混乱した。
例えば、ある武士が恩賞を申請し、朝廷が土地を与えたら、それは神社の領地で、逆に神社が訴訟してその土地を取り戻し、また別の土地を武士に渡すといった具合だ。
さらに100年も前から幕府から出された土地の安堵状を無効とされたわけで、今自分が領有している田畑が100年前の持ち主に返還されるという、めちゃくちゃな状態になったのだ。抵抗するし、そりゃ大変とばかりに全国から京都に訴状が一層集中し、その量は莫大な数になった。それでも後醍醐天皇は素早く処理しようとしたためにロクに調べもせずに判断し宣旨として公布した。その宣旨が間違っていたら前の宣旨を破棄して新しい宣旨を信じよ、とか朝廷が出すものだから国内は混乱した。
こんな具合なので親政半年余りで乱発される宣旨に「効力」がなくなってきたのだ。そのうち、天皇親政に幻滅した全国の武士(この当時は土地の領主でもある)たちは、新しいリーダーとして清和源氏の嫡流で領地も大きな足利氏に幕府政治復活を期待してゆくのだ。で、後醍醐天皇と足利氏との戦いがやがて足利氏が頂いた北朝の天皇との戦いとなり、ここに南北朝の動乱が生じるのだ。

アメリカに南北朝はおきえないが、でも連邦司法裁判所などがトランプの大統領令は違憲だと宣言しており、司法や民意によりトランプ政権が意外と早く倒れる可能性もある。トランプのめちゃくちゃな乱発大統領令は、アメリカ国民でも大きく反発をうみ、海外でも欧州でも国民がトランプ政治にノー!というデモが速くも始まっている。品位がないからと、トランプのエリザベス女王との謁見も英国議会が反対している。歴代のアメリカ大統領で、これほど下品で横暴な大統領はいなかった。政治経験がない者がお金の力で国家権力を握ってしまい、アメリカはめちゃくちゃな国になり下がった。市民は立ち上がり、トランプ政治にノーとデモをしている。所属する共和党からも異論が出ており、トランプは任期どころか、1年以内に退陣させられるかもしれない。
ただ米国民は、こんなめちゃくちゃな人物をアメリカの「自由と民主主義」な選挙で生んでしまったわけで、アメリカの民主主義の仕組みを見直さないといけないのではないだろうか。国民の投票がそのまま大統領の票になるのではなく、勝ちとった選挙人の数、そして勝った州の数で選ぶ方法は複雑すぎる。まだ日本の制度のほうがマシだ。実際、総得票数はヒラリー氏の方が多かったそうだ。なのに、トランプが大統領に選出されているのは理解に苦しむ。
トランプが戦争のボタンに触れないうちに、さっさとトランプを退陣に追い込まないといけない。世界の平和と秩序がめちゃくちゃになってしまう。
日本政府は、世界からの嫌われ者のトランプとは距離をとって静観しておくのがよさそうだ。イエス、ともノー、ともいわずにのらりくらりとトランプと接すればよいのだ。次の大統領に期待するのがよい。

ではでは。