こぎつねと
こぎつねかあさんに
とっても あいたくなりました
もう わすれちゃったかな
おもいだしてくれるかな
こぎつねと
こぎつねかあさんに
とっても あいたくなりました
もう わすれちゃったかな
おもいだしてくれるかな
かあさんの おふとん
あったかい
いっつも いっつも
かあさんに くっついて
かあさんに しがみついて
ねむります
ちいさい ちいさい
あのころに
しょいきれないほどの
かなしみも
うけきれないほどの
せめくさえ
かあさんに しがみつき
ねむります
かあさんの おふとん
あったかい
わたしの たった ひとつの
むじゃきな むじゃきな
あったかな
たいせつな たいせつな
たった ひとつの おもいで
まっしろな ひかりが
とじてゆく
どこまでも おおきな
しろい ひかり
てを のばせば
ひかりの なかに
とけてしまう
まっしろな ひかり
わたしを つれていって おくれ
あなたの みえぬ せかいに
のこさないでおくれ
ひとり ぽっちは
さみしいから
どうぞ
ひかりの なかに
ねむらせておくれ
いつのころ
わすれてしまうほど
とおくの とおくの
こわれちゃった
ちっちゃな おもい
でもね
ときどき
しっとり しっとり
にじみでてきて
とっても
かなしく
キリキリ
きりきざむ
ほんとに ほんとに
わすれられたなら
どれほど どれほど
こごえて こごえて
タバコ すってたら
はきだした けむりの なかに
かあさんが わらってた
かあさんは
タバコが だいすき
いっつも いっつも
りょうぎりを くわえ
せすじを しゃんと してました
だから わたしは
かあさんと いっしょに けむりの なか
いっつも いっつも
だからね
わたし たばこを やめられない
つきあかり
ふり くる
ゆめ
わすれた ゆめ
白い粒子 となって
紅の花 うずもれる
つきの ひかり
蒼く
ひとみ そめる
こわれてしまったよ ぼくの 時計
ずっつと むかしにね
だからね ぼくの 時間も こわれて とまったよ
あか あか おひさま
こおりの おつきさま
こわれたの
ぷくり ひとつ
あぶく ひとつ
きり きり ひきっつた おもい
つめこんで
ふくらまった ぷっくりと ひとつ
わたしの からだから はなれてく
あぶく ひとつ
まっくろな 吐息
まっかな 薔薇
いろんなこと つめこんで
ぷっくりと
おそらに ゆらゆら きえてゆく
もう みえなくなりました
あなたの おかおも みえなくなりました
さよなら
わたしの あぶく
さよなら
ほんの ちょこっとの
お花の
ちいさな つつみ
たいせつに
おっきな おひさま
もすぐ おやすみ
はやく かえりましょ
お花も 喉 かわきましょ
なにもかにも
みんな
とおいむかしの ことのよに
ゆっくり ゆっくり
なにもかにも
のみこんで
とけいの はりの ひとまわり
まっかな ひかり
まっくろな よる
わたしは まっぷたつ
あなたに
あげましょう
まっしろな 薔薇の花
どうぞ
しずしずと
うけとって