男子なら一度は必ず憧れるのが、「正義のヒーロー」だ。
俺もその一人で、子どものころは、いつか「正義のヒーロー」になれると思っていた。
悪を退治して、
弱いものを守り、
自分を犠牲にして、
弱音は吐かない。
誰にだってやさしく、
時に熱く、
時に冷静に、
仲間と協力して、
日夜平和のために戦うんだ。
でも、それは皆が気づくことだけど
四角い箱の中だけのことで、現実には存在しない嘘っぱちだって分ってくる。
結局嘘だろ、って思ったら、面白くなくてヒーローもんは卒業していく。
えっ、まだヒーローもん見てんの、ダサッ
って言われるようになって、
気がつけば、「正義のヒーロー」はどこかへ消えて行ってしまった。
これが大人になって行くことなんだろうけど。
たぶん、自分が目にしてきた世界に完全無欠の「正義」なんてありえない。
世界はもっと閉塞していて、入り組んでいて、複雑だ。
「正義」なんてあっても、結局誰かのエゴで、
裏を返せば「悪」でもあるってそんな世の中を生きてんだ。
ときおり、「正義」って言葉に悪意だって感じるんだ。
でも、ヒーローはいる、って思う。
そして、俺はまだヒーローになりたいって思っている。
自分の敵が、正義か悪か、分らないけど。
当時のガキの自分が感じてた憧れはまだこの胸の奥を強く動かす。
たとえ、誰かが「偽善者」だって言っても構わない。
それでもなお、ヒーローでありたい。
今の世界、まだ20年しか生きていないけど
それだけしか世界を見てきてないけど
この世界は、本当に混沌を極めている。
人のエゴがむき出しになって、それが衝突する。
それなのに、ガキには素晴らしい世界が広がってるんだって夢を見せる。
別にそれが悪いっていうんじゃない。
そんなガキたちに混沌の世界に入ったときの
進むべき道を照らす灯火でありたい。
だからって、大人のエゴがむき出しになった世界を押し付けるなんてナンセンスで、
でも、世界は夢ばかり広がっているって幻想を見せるのもナンセンスで、
その方法は分らないけど、
それでも彼らのヒーローでありたい。
それこそ、社会的に見て彼らはまだ、守られるもので、
それを守っていくのがもう大人になった俺たちなんだって思う。
四角い箱の中のかっこいいヒーローにはなれないと思うけど
この混沌とした社会を照らす一粒の灯火であることはできると思うんだ。
それで照らすのは誰になるかは、何になるかは分らないけど、
それでもなお、俺はヒーローになりたいんだ。