昔うちには、犬がいて。
名前をミロと言った。
大学生だったころに、
８つ離れた双子の妹が、
知り合いの家からもらってきた。
正直、ぼくはネコ派だったし、
大学で一人暮らしをしてる頃で
帰省した時だけに会うくらいだったから、
当初は、
へー、犬を飼ったんだ。
くらいの関心しかなかった。
それから何年かたって
実家に帰ることになったら、
犬もやっぱりかわいい。
いっつも近くにいるから、
なんかすごーく親近感わくんだよね。
呼べば駆け寄ってくるし、
撫でれば喜ぶし、
散歩に連れて行こうとすると
シッポを振って大喜び。
でもねー、
咳しだしたの。
どうやらフィラリアだったみたい。
飼い主、失格。
ちゃんと予防しとけば防げたのに。
だんだん悪くなって、
しんどそうになってきて
動物病院に連れて行ったけど、
薬を飲ますようになったら、
一気に体力が落ちてった。
体調が悪いなりに、
バランスが取れてたのかなぁ。
食欲もだんだんなくなっていって、
寝てることが多くなったけど、
前日まで普通に歩いたりしてたのに、
夜、寝てる間に亡くなってた。
悲しかったなー。
そして、
罪の意識を感じた。
もちろん、
手を下して殺したりしたわけじゃないけど、
直接、悪いことしたわけじゃないのだけど、
すごく責任を感じたんだよね。
なんかねー。
不作為の罪って、
このことなんだなーって思った。
もう
７，８年近く前の話なんだけどね。
なんとなーく、
夕暮れの空を見ながら、
ふとそんなことを思い出した。
嘘、正直、不正直。
人間、正直でありたいなーって思ってても、
嘘をつくことがある。
悪意の嘘もあれば、
善意の嘘もある。
正直に真実を伝えることが
必ず良い結果になるとも限らない、
悪い結果になることだってある。
だから、
正直でありたないーって思ってても、
本当のことを
言わずにおくこともある。
あるいは、
言えないこともある。
これは、
不正直なのかもしれない。
不正直だと心のどこかで思っていると、
なんとなく、
こころのどこかで罪の意識を感じる。
悪いことだと思ってなくても、
あえて言うことでもなく、
言うと心配されるからと思って
黙ってたりするだけでも。
もしかすると、
こころのどこかで
罪の意識を感じるのかもしれないね。