がんばって治療をして、
やっと妊娠したと思ったら、
流産・・・
Dさんが、
その時のことを話してくれた。
「実は、流産のことよりも、
身内に言われたことのほうがショックで・・・
流産した数日後に
義姉に話したんです。
流産のことを話したら、
そうしたら、
開口一番
『これからどうするの！？」
と厳しい口調で言われて。
もう、びっくりしてしまって・・・
言葉が出なくて・・・
義姉も昔、流産を経験してたから、
つらさをわかってくれるだろうなぁ。
そんなふうに思ってただけに、
あまりの厳しい口調に、
呆然として、
帰りました。
翌日、さすがに悪いと思ったのか、
謝りのメールが入ってきたけど・・・
納得がいかないというか、
なんで、
そんなふうに言われないといけないんだろう
そう思うと理解できなくて・・・
わたし悪いことした？
誰かに迷惑かけた？
そんなふうに思って、
どうしても自分の中で
気持ちが消化できなくて・・・」
同じ悲しい経験をしていれば、
似た立場の人の気持ちを理解できるし
いたわりの言葉をかけたり、
共感できる。
そう思って、
流産のことを話したDさんの気持ちを考えると
当然の感情だろう。
「あれから１ヶ月以上経つんですけど、
義姉の行動がわたしを避けてるような、
わざと接触しないようにしてるように感じて。
わたしはわたしで、
モヤモヤしてるし・・・
この気持ちをどうしたらいいんだろう、と。
もしかしたら、
わたしの勝手な思い違いかもしれないけど、
すべてを流産のことと結びつけてしまって・・・
残された大切な肉親だから
兄夫婦とは、
縁を切れるわけでもないし、
切りたいわけでもない。
これからも仲良くやっていきたいから、
よく思いたい。
でも、
だったらどうして、
あんな言葉や態度を・・・
そんなふうに、
ずっと堂々巡りしてる感じなんです。
実家はもうないから、
親とは話ができないから・・・
気持ちの吐け口がなくて・・・
そのぶん、主人にあたってしまって。
でも、許してくれるから
感謝してるんです。
父や母のかわりに親戚の叔母さんが
とても気にかけてくれたり、
すごく恵まれてると思うんですけど・・・」
Dさんの言葉を聞いてて、思った。
そっか。
そうだよね。
本当は、
Kさんが話しを聞いてほしいのは、
お母さんなんだ。
「そうです・・・
本当は、母に聞いてほしかった。
母と話ができたらどんなにいいだろう。
きっと、いろんなことを相談できる。
治療のことだって話せる。
わたし、母に向かって話しかけるんですよ・・・
でも、
思いが一方通行だから、
母も返事ができないから。
母に言いたいけど、
口にして
ぜんぶ、ぜんぶ気持ちのなかのものを
言ってしまいたいけど、
母は、わたしに言いたいことを言えないから、
言いたいことを飲み込んでしまうんです・・・」
うっすらと涙ぐまれたKさんの
お母さんを思う気持ちが
とても、
とてもやさしくて。
Dさん、
お母さんが返事ができたら、
どんなふうに言ってくれると思う？
「母は、
『悪いように、思わんでやって』
（出雲弁「悪いように、思わないであげて」）
そう言うかな・・・
いつも、
いつも、
そんなふうに言ってたから・・・
きっと、そう言うだろうな・・・
あれから、
義姉とは会ってないんです。
会わないといけないな・・・
本当にどう思ってるか、
いくら考えたところで、
わたしの中の想像と妄想で、
どうとでもなってしまうから」
話し終えて、
少し、すっきりしたような表情で。
Dさん、
きっと一歩、前に進めそう。