悩むべきことを悩みぬくことで精神は成熟していく | 司法書士 荒谷直樹のブログ

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(参考書籍:「悩みぬく意味」諸富祥彦著 幻冬舎新書)

 

 悩むべきことを悩みぬくことで精神は成熟していく。

 

 フランクル心理学は、なんでもかんでも前向きに・肯定的に考える、いわゆるポジティブ・シンキングに対しては批判的です。多くの心理学では、悩みや苦しみを解決し除去しようというアプローチをとります。そういう安易なポジティブ・シンキングの背景には、そうしていれば、自分の悩みや苦しみと向かい合わずに済むと思って、それを回避しているところがないでしょうか。苦しみ回避症候群ともいうべきポジティブ・シンキングです。

 

 同じポジティブ・シンキングでもフランクルのそれは究極のポジティブ・シンキング、いわば絶望の果てのポジティブ・シンキングです。

 

 苦しむべき苦しみを本気で苦しむこと。悩むべき悩みを本気で悩むこと。そのことが、人間の内面的な成長、成熟にとって、非常に重要な意味を持っているのです。そうした悩み苦しみをくぐり抜けた者が辿り着く境地に立ってはじめて、人はその人自身になっていくのではないでしょうか。フランクルは言います。

 

 「苦悩は、それ自体、すでに一つの業績である。そして正しく悩み抜かれた苦悩は、悩める人に、成長をもたらしてくれる。」(「苦悩する人間」より)

 

 本来向き合わなければならない精神的な悩み、葛藤、苦しみに対して、回避しようと思えばいくらでも回避できるような時代です。スマホさえさわっていれば、いくらでも「盲目的な態度」でいられます。目を向けない、考えないようする。ネット上で同じ境遇の人たちと群れて傷を舐め合う。大人でも浅薄で薄っぺらい考え方・振る舞いしかできないような人間が多くなった感じがします。真に自分らしい人生をつくるためには、正しく悩みぬく苦悩を正面から受け止め、乗り越えようとする覚悟が必要な気がします。

 

(参考)

ヴィクトール・エミール・フランクル(1905年3月26日 - 1997年9月2日)は、オーストリアの精神科医、心理学者、ホロコースト生還者。