ローカス・オブ・コントロール(locus of control)。心理学用語です。ローカスというのは場所や力の根源という意味で、「統制の所在」などと翻訳されます。「ものごとをコントロールする力の在りか」。それを自己の内部(自分の能力、努力、感覚、考えetc)においているか、外部(環境、運、社会的基準、地位、お金、ステータスetc)においているか調べることで、個人の人格の一面が明らかになるという考え方です。人の幸福感もこれに影響を受けているとの見方もあるようです。1960年代にジュリアン・ロッターというアメリカの心理学者が提唱したものです。平たく言うと「暮らしの中の判断の指針を、自分の内側の判断基準に重きを置くか、外部の判断基準に重きを置くか」とも言えるものかもしれません。

 

 

 自己の行動をつき動かす「原動力」が内にあるか、外にあるか。日によって、または状況によって、それは異なると思われます。人間は生活上、道理にかなった外部からのコントロールに譲歩する必要が当然あるであろうし、時には内部の衝動をどう抑制すべきことも学ばなければならないと思います。(「赤信号では停車する」のように、外部の基準(この場合は道路交通法かと)が法律の規定の場合は、「赤信号だけと進みたい」という内部の基準は妥当ではないのは明白です)

 

 たとえば、服を買うという日常のありふれた選択の際に、着心地がよく、値段も手頃で、自分好みのデザインで気に入ったから「購入する」ということよりも、現在のファッションの流行り、他者からの視線、(今で言うと「映える」かどうか考えるのもそうかもしれない)などを重視し、それを基準に服を選ぶのならば、それは自分が着るものを外部の基準で選ぶことになります。この場合は、服は「他人」に選んでもらっているのと同じということになりそうです。

 

 子供をどう育てるのか、どの学校に通わせるのか、何を職業にするのか、どこに住むのか、車は何に乗るのか、仕事で起きた問題の所在はどこにあるのか、などなど題材はたくさんあります。人生は「選択」の連続です。判断基準は大切です。

 

 わたしは、法律や社会通念等を優先させるべき事柄以外の、生活や人生の選択は外部ではなく自分の内部の基準を優先して決めることが多いです。

 

 「マウントをとる」という言葉がありますね。あれなんかは、外部の基準に従って、自己と相手を比べて、自己が「 優等」だと判断できた場合に、「特定の、特殊な精神構造の人たち」が行う「言動」であり、私は「主観的錯誤に基づく動物的行為」だと考えています。外部のモノサシを「絶対に正しいと勘違いしてしまった」哀れな人たちが行う「愚行」。例えば、学歴だの年収だの会社の規模だの、家柄だの、職業だのありますね。そういう特定の属性のみを比較して、優劣をつけたり、順位づけするのは、人間的な行為ではないと考えています。(おサルさんも同じようなことします。人間の皮を被ったサルかと)

 

 このローカス・オブ・コントロール(locus of control)の考え方によれば、おおむねコントロール力を自己の内部に持っている人(人生は自分でコントロールできると感じている人)の方が精神的健康度が高く、幸福な人生を送れると考えられています。それと、人生の重大な決定をするにあたって、自分の内部の本音や考えよりも、外部の基準(社会的基準、人の評価、金銭面での損得勘定)ばかりに影響を受けて、外部的コントロールされる傾向が高い人は、自分の気持ちや考えよりそれらを優先させる頻度が高いので、心に葛藤が起こり、精神面が不安定になりやすいという話もあります。

 

 わたし「バズる」「映える」ものに興味なんか抱きませんが、ユーチューブでも、このアメブロでも、他者の「思惑」「視線」ばかり気にして生活・行動している方々は少し注意した方がよろしいかと思います。ただただ、注目を集めることだけを念頭に行動している人たちなどは、このローカス・オブ・コントロール(locus of control)の考え方が妥当性があるものであるならば、きっとメンタル面では焦燥感だの不安感だの抑うつ感だの、マイナスの感情が支配的になってしまっているんじゃないかと推測できるからです。

 

(※「内」:自己解決型。「外」:他者依存型。自己解決型は、自分自身の行動とその結果は自ら統制できるタイプということができるであろうし、後者はそうではないタイプと考えると分かりやすい。あくまでバランスの問題だが、たとえば、何か問題が起こったときや自己の状況に不満があるときを例にとると、「内」を考慮せずもっぱら「外」ばかり向いて、なんでもかんでも環境のせい、他人のせい、会社のせい、学校のせい、政治のせい、にしたがるタイプは・・・ダメな態度だと思います。)

 

(参考)

「他人に頼るのはなく、自分自身に頼ってあらゆるものを幸福に導こうとする者こそ、まさに幸福に生きるための最上の方法を選んでいるのだ(プラトン←大昔の人)」