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私の日記、雑記は言いたい放題書いていますので、特定のテーマもないのですが、読んで頂けて光栄です。
本日は久しぶりの小説(風)です。
※登場人物は、架空の人物のフィクションです。
「松本、お前の隣の子誰?さっき話してた子」
「えっと、確か水口さんだったかな?なんで?」
「えっ?いや、なんか気になって、、、」
初めて彼女を見かけたのは、初夏の日差しの暑い日、予備校の午後一番の日本史の授業だった。
僕は友人の松本と同じ講義に出ていたのだが、日本史の先生は人気講師で座席が埋まるのが早く、友人とは前後の席になってしまったため、彼と前後でしゃべっていたら、何かの拍子に松本が隣に座る女性と話し始めた。
この男とは小学生時代からの友人で、彼はものすごく人気者。顔は竹中直人をぺしゃんこにしたような顔で、お世辞にもかっこいいとは思えないけど、昔から人付き合いが良く、はきはきして他人に不快感を与えないものの言い方と、いつも明るく冗談を言う性格は、男女ともに非常に受けが良く、敵をつくらない人気者気質の存在だった。
そんな、彼の隣に座っていた女性に突如目を奪われてしまった。正確に言えばこの人気者でだれでも気さくに話す友人が話始めたことで、彼と親しくなって欲しくないと思う「嫉妬心」が芽生えたのが、正直なところだった。
長い髪、透き通るような白い肌、そして松本の話にうなずきながら、受け答えする笑顔の爽やかさ。
その日の日本史の講義は、松本への嫉妬心からまるで頭に残っておらず、「お前は、黙って授業を聞け」と心の中で念じるのが精いっぱいだった。
しかし、奥手の僕にしては珍しく、授業が終わった時に、強引に話かけて、なんとかお知り合いになることができた。あの時の勇気はなんだったのだろうか?人は本気になると、結構、勇気が出るものだ。
彼女の名前は、水口優子、県立女子高出身、身長は149cm、小柄な身体にいつも大きなカバンに、テキストやノートを入れて、カバンを一生懸命抱えて歩く姿が印象的だった。
ある日、彼女が自習室に通っていることがわかり、僕は先に自習室に行って、彼女が来るのを待ちぶせていた。
すると、彼女が遠くから自習室に向かって歩いているのがわかった。もう心はドキドキしていた。
でも、彼女を待っていたなんて言えない。話したのも、たった1回だけだ。
授業が終わると、自習室に大量の人が流れてくる。僕は彼女を見つけたが、声をかけることができずに、別の人を探しているフリをした。
すると、なんということだろう!彼女が僕の方に近寄ってきて、手を振ってくれている!
「何してるの?」
「ん?あ、水口さん、こんにちは。いや、友人の松本って奴を待ってたんだけど、あいつこなくて。水口さんは?」
「私は自習室で勉強しようと思ってきたの。あと、同級生のかなちゃんと待ち合わせなんだ」
そう、彼女は同じ高校の同級生の藤原かなえさんと予備校に通っていた。水口さんは、国立大教育学部、かなちゃんは、医学部志望だったので、授業が全然違ったのだが、その日は一緒に帰る予定だったらしい。
少し立ち話をしていたところ、数分後にかなちゃんがやってきて、初対面の挨拶。
びっくりしたのは、かなちゃんの可愛いこと。でも、僕の心は水口さんに奪われていたから、その時どうこう思うことはなかった。
(ただ、今後の人生でこのかなちゃんが再び登場することになるとは、その時は知る由もなかった。)
そんなこんなで、僕は、調子に乗って相当立ち話を自分勝手にしてしまった。ところが、水口さんは素敵な笑顔でお話しを聞いてくれて、その後、かなちゃんに聞いたところによると、「〇〇君はすっごくいい人なんだよ!と言ってたよ!(だから、彼女も〇〇君のこといいと思っているんじゃない!?)」なんて、教えてくれたもんだから、僕的には相当脈ありとカン違いしてしまったのだ。
彼女との幸せな瞬間はすぐにやってきた。
どうやってきっかけを作ったか忘れたのだが、ある時、僕が水口さんとおしゃべりする時間を作りたくて、わざわざ千葉に住む親せきの家に泊まる計画をして、彼女と一緒に予備校から帰ったことがあった。
季節は10月も半。朝夕は少し肌寒い季節だったと思う。受験生は、さらに追い込みをかける時期なのに、私は10月の模試の成績が良かったことと、また水口さんとの出会いがあったため、まるで浮かれていたような気がした。
そして、予定通り彼女と待ち合わせて、総武線の千葉行きに乗車した。
楽しかったなあ。何を話したか、全く記憶がないけど、とにかく楽しかった。
そして、乗車中に、彼女が、
「私、海が好きなんだ。夜の海の景色って素敵なんだよ」
「じゃあ、今から見に行かない?って、お勧めの場所があったら連れてってよ」
話が急展開して、急遽、二人で夜の海に夜景を見に行くことになった。
幕張あたりなら、どこか夜景でも見えるのかなあと期待しながら言ってみたところ、稲毛海岸あたりだっただろうか?彼女のお気に入りスポットがあるというので、駅から20分くらいかけて歩いて夜の砂浜に夜景を見に行った。
今、思えばあの砂浜に向かう瞬間が最高の時だった。そして、砂浜についた。
あの時代、まさにあの時に流行っていた歌に小野正利の
が突然頭に流れだしたような気分だった。
真夜中君と二人 砂浜波の調べ
見上げた空にはほら 星のシャンデリアさ
I love you tonight 時が止まればいいね
流れ星 きらめく 想いを伝えたいすぐに
いつまでも二人このまま 強く抱きしめてFly Away
輝いてる君の瞳 僕の全て映してよ
My song for you Just only you
君だけを愛しているのさ
砂浜で遠くの夜景を見ている水口さんの瞳はキラキラとそして、喜びに満ち溢れていた。
「私、この景色が一番好きなんだ」
言葉を聞くだけでも胸がジーンときた。
本当に彼女を抱きしめたくなった。
でも、今思うと、そこが僕の間違いだったのだろう。
最高のムードで、僕の気持ちも高まっていた、、、、なのに、告白もしなかったし、せめて肩に手をかけたりもしなかった。いや、勇気がなかったからできなかった。
砂浜を後にして、駅に戻る道は、夏祭りや夏休みの終わりのような一抹の寂しさがあった。
幸福な瞬間は、その時だけだった。その後は、最大のチャンスに行動をしなかった僕に神様は試練を与えて下さった。
その日を境に、彼女の態度は急に冷たくなった。なぜか僕を避けるように、すれ違っても本当に形式的な挨拶だけ。
僕は不安になるものの、どうすることもできなかった。受験生なのに受験勉強が手につかず、予備校仲間と近所のドトールで、そんな恋愛話をしては、不安を解消する毎日。
さすがに、年が明けると、現実の世界、受験日まで日がなくなり、彼女のことは忘れて猛勉強した。
あの日を境に勉強が手に継がず、偏差値は激減し、志望校の判定がC判定からE判定に落ちてしまい、焦りもあった。とにかく今は勉強するしかない。
そして無事受験は終了。残念ながらというか、本当にバカだったと思うが、あのまま勉強していれば、志望校は楽勝だったと思うが、空白の二カ月のおかげで、志望校は不合格。ただ、なんとか合格した大学は、まあ両親は喜んでくれたレベルだったし、僕もまあ面目は保てる程度だったのかなという最低限の仕事はしたってとこだった。
水口さんは国立大志望だったので、試験日程が遅かった。ただ、入試が終わったら、僕は思い切って告白しようと思ってた。
「彼女が僕を遠ざけたのも、きっと試験に集中したいからだ」
なんて、都合のいいことを考えていた。男はバカだなと今更ながらに思う。
受験も終わった後、かなちゃん経由で水口さんの自宅の電話番号を聞き、人生初めて、女性の家に電話をした。電話の向うの声は、なんとなく吹っ切れたような感じのトーンで、いずれにしても、受験は無事終わり、彼女も第一志望ではなかったものの、第二志望国立大学に合格したと聞き、まずはお祝いを伝えるとともに、一度会って欲しいと伝えたところ、会ってくれることになった。
朝、10時だったかな。都内某所で待ち合わせ、ファミレスでブランチを食べた。彼女と食事をするのはもちろんはじめて。
あの時みた、食事の食べ方が、また僕の好きなきちんとしたテーブルマナーで、本当に惚れ惚れする女性だった。
受験が大変だったこと、その後、解放されてからは、マザー牧場にいったり、もうたっぷり遊んでいる近況だの色々話した。
いや、彼女が一方的に楽しそうに話しているだけだった。
以前の砂浜デートの時は、物腰の柔らかい女性的な印象から、その日はどうだっただろう。
ものすごくお茶目だったり、快活で、しかも冗談も沢山飛び出し、これが本当の水口さんなんだなーと感じた。
そんな彼女と対峙して、僕もニコニコしながら、お話しを聞いてあげればよかったのに、若かりし頃の僕は、自分の想いを伝えるタイミングだけを考えていた。なんて暗いんだ、なんて重いんだ。
ほどなくしてお店を出た。ちょうど昼時だったかな。もう帰ろうということになった。
結局、僕は告白するタイミングを逸していた。この後、どうしようと、ほとんどパニック状態だった。
そして、駅に到着。ホームの上で電車を待つ時間もなく、電車がやってきた。その時点で、僕はついに意を決して告白することにした。
「水口さん、また会ってくれるかな。」
なぜ、言えなかったのだろう。
「水口さんのことが大好きだ。だから付き合って欲しい」
告白とは、はっきり言わないと相手に伝わらないと知ったのが、それから何年も後のことだった。昔の自分を見ると、「昔の自分は、青いなあ」と思ってしまう。
遠まわしの告白、それも電車に乗る瞬間、その時彼女は、少し笑顔、少し困った顔で、静かに、そして、ゆっくりと一言残して、電車に乗りこちらを向いて手を小さく振った。
「。。。。私行くね」
そして、ドアが閉まった。
それから、もう会うことはなかった。
思えば、砂浜で夜景を一緒に見たときに、告白しなかったのが、彼女としても
「何この人?」
と思われたのだろうか?
それとも、最初から単なる「お友達」だったのだろうか。
この半年間の想いや出来事がいろいろと頭を駆け巡った。
電車のドアが閉まったあと、茫然と立ち尽くして、駅ホーム内のベンチに少し座った。
大学に合格し、季節はまさに春を迎えようとしていた小春日和の3月後半に、僕の桜は一足早く散ってしまったのであった。
思えば、水口さんとお話ししたのも、2-3回。初めて見て一目ぼれしてしまったから、どんな人か良くわからない。
でも、きっと僕の思い描いている素敵な人なんだろうと今でも思う。僕の一目ぼれした初恋女性の浅田(本ブログ、新学期は出会いを参照)だって、以前にもまして魅力を増しているだろう。
まさに、浅田以来の片思いの経験だった。
