いつもありがとうございます!ただいま、海外出張中で、原稿が遅れて申し訳ありません。出張中には日本A代表がコロンビアに勝利するなど吉報が届いていて、日本はきっと盛り上がっていることと思います。私の方も、頑張って書いて参りますね。※登場人物、学校名、ストーリーはフィクションです。

 

「じゃあ、(渋谷)駅前に行こうか。ナカミ―は好きな店はある?僕が知っているのはDucku Duckくらいかな。。。」

「Ducky Duckは女子高生、女子大生の定番だね(笑)。私いつもそういうところは友達と言っているから、木村君がいくようなお店に連れていってもらいたいんだ。私ね、中学から女子校でしょ。だから、吉野家とかも入ったことなくて、大学入ったら男の人にそういうところも連れていってもらいたかったんだ。だから、今日は、木村君が行くところに連れていって欲しいんだ」

 

こんなやりとりをしてから、僕達は学校を後にしていた。

 

渋谷のジョイタイム。コーヒー1杯150円のファミレスで、長居するには最高、学生の溜まり場と化している。空手部の同期、特に池田とは練習後、バイト前まで入り浸るように使っていたお店で、当時は分煙もなされておらず時間によっては相当煙たいお店だった。。

 

「大丈夫、煙たくない?」

「大丈夫!部の先輩達もたばこ吸っているから、私は吸わないけどタバコの環境は大丈夫だよ」

 

午後1時過ぎだったため、人の入りはちょうどランチが終わって空いていく方向で、少し静かになっていて、話しやすい環境だった。

僕はコーヒー、彼女はミルクティーを注文し、ちょっと緊張しながらも、話を始めた。

 

「木村君は普段はどうしているの?」

「いまは、自動車免許の取得が結構大変。6月に申し込んだのはいいけど、早くしないと半年たって、失効しちゃうから、教習所に通わないといけないんだ。なんだけど、なかなま面倒くさくてね(苦笑)」

「えー、私も教習所通ってるんだ!でも、最初の実技でいきなり縁石に乗り上げて、2段階目では追突しちゃったり、大変なんだよ。全然、進まなくて、進まなくて、こんなに進まない子初めてですって教官に言われた。」

「えー!ホント!? まあ、ナカミ―が運転するってことだけでも驚いているんだけど、追突は凄いね(苦笑)。でも、車はたぶん、慣れだと思うから、何度もゆっくりゆっくりやれば、運転できるようになるよ」

「そうかなあ。もう私も不安で不安で。でも、木村君にそう言っててもらえると嬉しいな」

 

この何気ない会話がこれほど楽しいと思ったことはなかった。思えば、中学時代の浅田。クラスやバスケ部が同じとは言え二人話し込んだことはなかったかも。予備校時代の水口さん。二人で夜景を見に行ったことはあった。しかし、晩秋の受験を控えた身に、どこか一抹のわびしさや受験に対するうしろめたさもあり、お互いどこか踏み込めない感覚があった。でも、いまは大学1年生という、無敵の状態。受験勉強から解放され、大人の遊びが全て許される最高の時期。そんなゆとりのある時間の中で、心を寄せる女性と1対1でゆっくり話しができる時間は、今思えば、大学生の特権だったのだろう。

 

「あっ、もうそろそろ5時過ぎだ。随分話たね。ナカミ―は時間大丈夫?」

「ほんとだ。もう3時間以上いるね。そろそろ、帰ろうか」

「えっと、お会計は、」

「私の分はいくら?」

「あっ、いいよ。今日は僕がご馳走するよ!」

「えー、ホント?じゃあ、今日はお言葉に甘えてご馳走になっちゃおう!」

 

僕が入学する前、時代はバブル期で狂喜乱舞した時代だった。男たちは「アッシー君」「メッシ―君」と呼ばれ、女性は「ご馳走されるのが当たり前」、その際たる象徴はジュリアナ東京という、私には理解不能な時代。そんな余波はクラスの友人たちにも「女性には貢いでナンボ、そこからが勝負」なんて言う男子諸君もいたけど、僕にはどうにも理解できなかった。世の中そういう女性だけなのか?と失望感さえあった。

 

けど、今日のナカミ―との時間は素晴らしかった。ジョイタイムなんて女子大生に似つかわしくない場所でも、ニコニコしながらお話しをしてくれ、しかも最後にきちんと自分の分もお会計を支払おうと気遣いをしてくれる。こんな素敵な女性こそ、本物の女性だと思った。そうだよ、アッシー、メッシ―なんて言っている人達は、ちょっと僕とは合わないし、ちょっと天然っぽいけど、ナカミ―みたいな人が大切にすべき女性だと確信めいたものがあった。

 

2人で渋谷駅に歩いていく時間は、お互いにどこか別れたくないという、かすかな空気が漂っているようにもあったが、次に会える日がまた待ち遠しくなった。