『とりあえず、焼肉喰って考えようぜ…』「そうだね」
意見は一致して、約束した日がやってきた。オレがご馳走する…ジュンジに
というのも、オレは破産の申し立ての最中。クルマを所持はできない。
そこで、親友のジュンジに無理を言って名義を貸してもらい、オレは
ちょい乗り程度だが、車に乗ることが出来ているワケだ。
愛機をジュンジの自宅前につける。ブロロロロロロロ……。電話を
かけるまでもなく、ジュンジが家から出てきて手を上げる。なるほどな…。
オレのクルマは相当やかましいヤツらしいや。
さて、「おーっす!」とジュンジが乗り込んでくる。電話で聞いたが
ジュンジの彼女も後で合流するという話だったのでしっかりと
おめかしを決めていたジュンジだったのだが…香水が……その香り
『ローズ』と一緒じゃねぇか…ジュンジの香水の匂い……ハハ
こりゃぁ…まいったなぁ……。
ローズは好んで、メンズの香水をつけるクセがある。その香りに
オレはいつもすっかり酔って帰るのだが…同じような香り、だけど
ジュンジ。ローズじゃない…ジュンジだ…。
複雑極まりないなぁ…。うん……マジで♪
理性のゲージが危うい方向に曲がりかける…待て待て…。
そんなことを考えながら、いつもの牛角へとやってきた。
二十歳になったばかりの、ジュンジの彼女も歩いて店へとやってきた。
……ふぅ。やれやれだ。
3人で、喰い放題のコースを頼み…運転手のオレはノンアルコールの
ビールを頼み、目の前のカップルはジョッキにビールを波なみと
注いで気風よく飲んでいる。肉も程よく焼け、いつもは一人で食べている
時よりもペースこそ遅いが、「楽しい晩飯」だ。
そのうち、ジュンジが『炎(ほむら)』という泡盛を頼み…彼女にも
半ば強引に飲ませ始めた。この酒40°近くはあるらしい。
そいつを二杯も立て続けに、酒に慣れていない彼女に飲ませたのだ。
結果は炎を見るよりも明らかだろう。ニヤリと笑うジュンジに
脇を抱えられ、可愛い酔っ払いのできあがりである。
さて、ジュンジのやつ「行きたい所があるから乗せてって」と言っていたな。
『どこに連れていけばいいんだ』「サンマリノ!」……ってホテルかい!
酔っ払って上機嫌の狼と、リアシートでKO寸前の子羊を乗せ
オレのクルマは、ホテルに向かって走る。そして店の前で二人と別れた。
次の日、ジュンジに香水の話をしたら大笑いだった。そりゃそうだな。
間違ってもジュンジに抱きつくわけにはいかないからなぁ…。